第2話化学反応起こしてやる!
入学式から数か月は名前順で席が決まる。
隣は男子だった。
安心した。
隣の子は読書をしていた。
大人しそうな子で、その子から話しかけてくれる様子はなかった。
僕は有機(勇気)をだして、その子に話しかけてみた。
「隣の席になった炭素です。よろしくね」
声が震えていた。
隣の子は読んでいた本を閉じ私を見てこう言った。
「あぁ~よろしく」
これが今日最後のクラスメイトとの会話になるとは、この時の僕は知らなかった。
名前を聞くことができなかった。
私は後悔しながら一時間かけて家に帰った。
どうすれば、彼と仲良くなれるかをお風呂の湯船で考えてた。
僕は人間関係をよく化学に例える。
「彼と仲良くなるためには、まず活性化状態にならないといけない。
そのためには活性化エネルギーが必要だ。
活性化エネルギー……。」
「あぁーもう分からなくなってきた。」
「この反応を進めるためにはどうすれば?」
「温度は?圧力は?濃度は?」
「まず濃度を高くすればルシャトリエの原理により、平衡反応は右に偏るはずだ!」
最終的に私の結論は濃度を高くするとなった。
単純接触効果を狙い、とにかくコミュニケーションをとる作戦である。
「さぁ明日は化学反応が進め!」
独り言を湯船で言っていたら、お風呂上りに妹に気持ち悪いと言われた。
そして妹に「明日は高校休みじゃないの?」と言われ、明日が日曜と気づいた。
えっ!妹が私の話を聞いていたことに少し私も引いた。
人間関係も化学反応のように進行するはずだ アディクトベンゼン @cumenehydroperoxide
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