漢数字
「ふと思ったんだけどさ」
「なんですか?」
「漢数字って『四』から駄作になった感あるよね」
「そんな売り上げにずるずる引きずられてグダグダになったシリーズ作品みたいに言われても」
「いやだってさ? 『一』と『二』と『三』見てみ? シンプルですぐ覚えられるし画数も対応してて完璧じゃん」
「まあ覚えやすいですね」
「それに比べて『四』って、『四』って何さ、今までの流れぶち壊しじゃん、画数も五画だし」
「何か恨みでもあるんですか?」
「無駄に『五』と対応させたりしてるしさあ」
「え、どの辺がですか?」
「『五』は四画でしょ? 『四』は五画だから対になるんだよ」
「いやそんな深読みする人初めて見ました」
「画数的にゲームとかだったら絶対にキャラ一新して賛否両論だった『四』の前日譚扱いだよね『五』、ナンバリングは後だけど時系列的には『四』の前になってるみたいな」
「何ですかそのサモンナイト3みたいなの……ちょっと熱いのなんか腹立つ」
「ああ……、また微妙に伝わりづらいゲームを挙げるね君は」
「なんだ急に、私に喧嘩売ってんのか」
「3の先生が可愛かったことしか覚えてないかな」
「は? アリーゼもベルフラウもかわいいじゃないですか」
「だってあのゲーム、でんちマン適当に撃ってたら簡単に勝てるじゃん」
「それ基本的に二週目以降じゃないですか」
「じゃあ次は『六』行ってみよう」
「え、この生産性皆無の話続けるんですか?」
「画数は四画だよね」
「なんですか、実は『四』の裏側で同時進行してたみたいな感じですか?」
「お、ちょっと面白そう」
「いやいやちょっと待ってください、それはだめです」
「え、なんで?」
「だって『四』の補完は『五』でやるんですよね? わざわざ掘り起こす必要はないです」
「あ、その設定拾ってくれるんだ」
「それに次の『七』と『八』は両方二画ですよ? その流れだと『二』に連動しなきゃいけなくなりますし、そもそもそうやって過去作の要素ばかりに頼ったナンバリングタイトルは新規を引き込めず長続きしません」
「システムも世界観も一新したのに前作要素を雑に出し過ぎてどうなんだって言ってたサモンナイト6をきちんと最後までプレイした君が言うと説得力が違うね」
「その褒められ方は全くうれしくない」
「じゃあどうするの?」
「……前編の『六』、後編の『七』と『八』で三部作とかどうです?」
「その心は?」
「『六』の下の部分が『八』に見える」
「そんでもって?」
「『七』の上部分を切り取ると『六』の上部分に見えなくもない」
「つまるところ?」
「まずは物語前半となる『六』を発売、その後ストーリーが分岐して『七』と『八』でバージョンが分かれ、それぞれ違った結末を楽しめる」
「うお、なんか面白そう」
「次は『九』ですね」
「なんかノリノリだね」
「正直ちょっと楽しくなってきました」
「これも二画だよね」
「ここまで展開させるとちょっとネタが切れてきますよね」
「……なんかネタにもしずらい形だよね『九』って」
「それを言っちゃあ……」
「そもそも『九』ってなんであんな形なわけ?」
「『九』は手を曲げて引き締める形を表してるそうですよ。右向いてて、縦線が体で、ハネの部分が拳になっててっていう」
「え? なんでそんな成り立ちなの?」
「引き締める、ってところから基数である一から九までの最後の数字、最後の締めっていう意味があるとかなんとか」
「もうそれシリーズ最終章にするしかないじゃん」
「実際最後の数字ですしね」
「もうこれは最終章だね、すべての戦いに決着がつくね」
「え、でもそれだと『十』はどうするんですか?」
「そりゃオールスターゲームだよ」
「あーなるほど、歴代キャラが一堂に集まるお祭りゲーですか」
「そういうこと」
「みんなで協力するってことはラスボスも全員登場してって感じですか?」
「いや、あえてバトらせたくない?」
「明らかにRPGの路線で来たのにまさかの格ゲーですか?」
「駄目かな?」
「……まあお祭りゲーですしそれくらいはむしろアリかもですね」
「よし、決定だね」
「初代の『一』、続編の『二』『三』、新天地の『四』、過去編の『五』、三部作の『六』、『七』、『八』、最終章の『九』、お祭り番外編の『十』ですか」
「纏まったね……」
「纏まりましたね……」
「いや盛り上がったね」
「絶対に無駄な時間でしたけどね」
「でも楽しかったでしょ?」
「まあ、何時もよりちょっと楽しかったですね」
「でしょ?」
「はい」
「…………」
「…………」
「……サモンナイトもここまで続けばよかったのにね」
「私は7を諦めませんから」
駄文芸部の二人。 東雲秋一 @akazukin33
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