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まずSFとしての魅力的な場面描写から始まり、華麗な人物、戦闘描写が続く一連の流れは見事です。テクストとしての人格と、花という生命の対比は紡がれる郷愁と既に失われた風景へのノスタルジーを呼び起こします。そして地球出身の「彼女」が辿った人生とネモフィラの映像を残した思いを読者に想像させ、ラストには淡い希望が灯る。この構成も素晴らしいです。
私たちが普段見ている何気ない景色というのもいずれネモフィラの花のような扱いになるのでは、と考えさせられました。
作者からの返信
さっそく拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
原風景や思い出といったものは、容易に消失してしまう。だから誰かの記憶として残ってほしい、そんなことを「彼女」も思っていたのかもしれませんね。
絶望よりもほんのわずかな希望が残る、そういった話を書くのが好きですので、そう言っていただけると作者冥利につきます。嬉しいです。
編集済
素晴らしい作品でした。自分に残せるものは何か?という多くの人が死を意識する頃に直面するテーマを端正に書きあげており、印象的でした。
SFが好きで、特に新スタートレックが好きなのですが、その中にあった或るエピソードを思い出しました。死にゆく星の人々が、ある住民の人生を追体験する装置を打ち上げるというエピソードです。恐らくは、この機体の彼女も、その星の住民も、自分が大事にしたかったものの記憶を引き継いで欲しかったのでしょう。
電子データに出会った誰かが、ネモフィラの咲き乱れる景色を再び作り上げる事を願うばかりです。
作者からの返信
素晴らしい感想並びにレビューありがとうございます! 反応が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
スタートレックに美しく儚なさそうなエピソードがあるのですね。さすがスタートレック……!
地球は凍結してしまいましたが、きっと誰かが花々を再生してくれる、だろうと書いた自分も思っております