第2話 花
―――ピーンポーン、パーンポーン。
学生時代、休み時間ごとに聴いたチャイムの音にとても良く似て懐かしい。
これはきっと何か時刻の区切りを知らせる合図なのだろう。
相変わらず両目は重だるく、上下のまつ毛がベットリとくっつきあっているような感覚もあり、ますます開かなくなっているようでもあった。
左腕の肘から先をグイグイと強く引っ張られる。
その引っ張られる方向によっては、数か所に針のチクチクとした違和感が増す。
嫌がるように左腕を肩のほうへ引くと、反発するようにやはり誰かがグイと引っ張る。
誰なのだろう。
肩を動かすことはできており、顔も左右に少しだけ振ることができた。
もしかしたら目も開くかもしれない。
頑張って目を開こうか開くまいか、もったいぶって考え始めたときだった。
「羽賀さん、気が付かれましたか?目を開けられます?」
どことなく威圧的で気が強そうな女性の声がした。
その拍子に、もはや目を開けようかどうしようかなどは考えず、強引に目に力を込めて開いた。
案の定、両目のまつ毛に目やにや涙がゴッテリとついていて粘着している。
きれいには開かないが、薄目を開ける程度には見開くことができた。
無意識に目のまわりを擦ろうとして手を伸ばしたが、両手とも何かに固定されていて目の辺りまで届かない。
「あぁ、目を開けられたようですね。よかったです。」
その声から想像していたとおり、気が強そうな50代くらいの小太りな看護師が目の前にいた。
「しばらく眠っていらしたから、浦島太郎みたいになっているでしょう。ここがどこだかわかりますか?」
少しだけ楽しくさせようとしてユーモアを交えているのか。
「・・ょうい」、まったく声にならずカスカスな隙間風のようなものだけが私の口から出る。
「え?」、看護師が聞き返す。
「びょうい・・ん?」
「あぁ、はい、そうですね。病院、正解。」
札幌市中心部から車で5分程度で到着したことから推測すると、ここも札幌市中心部であろうが、何という名前の病院なのだろう。
昔から私が見聞きしていた病院か、もしくはそうではないか。
窓から見える景色の一部だけではまったくわからない。
「羽賀さんね、あまり食べていなかったんでしょう?まず貧血と低血糖よ。外で倒れているところを男の人が助けてくれて病院まで付き添ってくれてたの。親切な人が偶然通りかかって本当に幸いだったと思うわ。」
看護師が状況をペラペラと話し出す。
「明日から精密検査もするから、他に病気が潜んでいないかとかもその時に調べますからね。今は点滴をしているからスッと気分も良くなるはずよ。それで気分が良くなったら、少しずつ食べるようにして元気つけなきゃね。」
やはり事故に巻き込まれたわけではなく、貧血と低血糖で倒れたのか。
いつものように職場のビルを出たところまでは記憶にある。
その日の仕事だってクオリティを落としていなかったし、普通の人と同じように働いていたはずだ。
ここ2週間ほどでめっきり痩せたことは、同じ職場の人たちも気づいていたかもしれない。
事実、痩せ始めてからは体調がかなり優れない日もあったが、そうそう簡単に他人に心を開かない私は弱いところも見せるわけがない。
正直に体調不良だと言って仕事を休んだりも出来ず、他人に甘えたりも出来ない。
それは決して強がりばかりではなく、人に迷惑をかけたくないのだ。
そして、体調不良だと言ったら人は「大丈夫?どうしたの?」と事情を聞こうとし、そうなると自分のことを正直にあれこれ話さなければいけなくなるのが面倒で嫌だ。
ゆえに私は日に日に痩せ細っても、何食わぬ顔をしていつものように仕事をした。
私の姿や様子がどうであろうと、職場の人間に関係などないではないか。
いつも通りに定時まで仕事が出来、安心していた。
その日のその時刻までは。
コートを着て、カバンを右肩にクルンとかけて、エレベーターを降りビルの外に出た瞬間だったろうか。
頬が外気に触れた途端、数歩も歩かないうちに記憶が途切れている。
倒れていた場所の住所も職場のビルの前あたりのようだったことから、恐らくその瞬間に貧血や低血糖などで倒れたのだろう。
こんな生活ぶりをしていれば、近いうちにそのようなことにはなる可能性があったが、それがまさか今日訪れるとは想像していなかった。
数日前に勇が訪ねてきて、食料品をくれたにもかかわらずそれを無残にもゴミとして捨てたり、「病院へ行こう」と強引に誘ってくれたことがあったのに全て拒否をして、挙句にこのような結果になったのだから、勇には間違ってもこの事実は伝えられない。
倒れただなんて言ったら、どんなに非難されることか。
今は何月何日、何時なのだろうか。
この病院に運ばれてからどれだけ眠っていたのかがわからず、どれほどの時間が経過したのか想像がつかない。
もしかすると一日程度なのかもしれないし、想像を超えて数日経っているのかもしれない。
それもそうだが、私が職場を後にしたときに持っていたカバン、着ていた服、靴はすべてここにあるのか。
仮に靴が片方現場に置き去りになっていても、他人は誰もそんな些細なことは気にしてくれない。
私のカバンがどこに転がっていようと、所持品の何かが失くなっていようとも。
自分の意思で体を動かせるほどに回復してきたら、急にそんなことが気になりだした。
スマートフォンはどこだろう。
いつも通りにカバンの内ポケットに入ったままだっただろうか。
現在時刻を確認したいというのもあり、ひとまずはスマートフォンを見たい。
私の所持品が無事にあるとしたら、おそらくこのベッドの周辺に集められて置かれているはずだ。
ベッドの下、周辺をグルグル見回す。
枕元の斜め下に籐でできた荷物入れがあり、その中に下向きになって放り込まれているのは私のカバンのようだ。
“カバンの上下の向きぐらい、きちんと直してくれたっていいのに。”
鼻でフフンと苦笑いし、そんな些細なことにすら軽いストレスを覚える。
まずはカバンが確かに私の手元にあったことに感謝すべきか。
カバンのファスナーを開けて内ポケットに手を入れたら、いつもの位置にスマートフォンがあった。
冷えたスマートフォンの電源ボタンを押すと、”2018年3月30日(金)10:32”と表示された。
この時計には24時間表示をさせているのだから、午前10:32に違いなかった。
私が最後に出勤した日は3月28日で、その日の退社後に路上で倒れたはずだ。
今はその2日後ということか。
昨日、今日は平日のはずだが、その間の仕事はどうなったのだろう。
誰かが代わりに職場へ連絡をしてくれているわけもなく、私は無断欠勤をしてしまっている可能性が高い。
スマートフォンのロック画面を解除したら、案の定不在着信と留守番メッセージが5件ずつ残っていた。
1件目、3月29日(木)9:10。
「おはようございます。ブレインズの稲垣です。本日まだ出社されていないので、どうされたのかなと思いましてご連絡しました。折り返しお電話いただけますでしょうか。」
ブレインズの稲垣というのは職場の上長、普段一緒に仕事をしているチームのリーダーだ。
9:00の出社時刻を過ぎても私が現れないので電話をかけてきたのだろう。
2件目、3月29日(木)10:38。
「度々すみません。ブレインズの稲垣です。昨日、退社後に倒れられたようだということを他のメンバーから聞きまして・・・体調が悪いのでしょうか。もし今日も無理そうでしたらお休みください。とりあえず一度電話で状況を教えていただければありがたいです。」
3件目、3月29日(木)14:55。
「お休みのところすみません。ブレインズの稲垣です。仕事のことでちょっと確認したいことがありました。電話でなくても構いません。私の会社のアカウント宛てで良いのでメールをいただければいつでも返信可能です。宜しくお願いします。」
私が突然休んだので、担当していた仕事の引継ぎなどもあり状況を把握したいということか。
仕事においても私の中で閉ざしていた情報や、一人で密かに処理していた問題も少々あった。
誰かに言うまでもなく、私個人が黙々と片付けてしまえば良いと思っていたものがややあり、それらは今まで日の目を見なかったが、今回私が急遽休んだことによって明るみになったのだろう。
個人的な連絡先を稲垣さんと交換していれば、こんな緊急事態の状況下で電話に頼らずに済んだのかもしれない。
こういった状況になると、周りの人々との関係が普段からどれだけ希薄であるかが浮き彫りになる。
毎日顔を合わせて8時間以上も時間をともにしている職場の人でさえ、密に連絡をとっている人は一人もいない。
誰も私のことなど知らないし、私も人のことは知らない。
4件目、3月29日(木)18:22。
「もしもし、由紀子?お母さんですけど。あんたが倒れたって病院から電話がきてさ。病院にいるんでしょ?そっちへ行きたいんだけど場所がわからなくて、一人で行けないかも。いずれにしてもすぐに行けないわ。また電話する。」
一体何なのだろうと思うような、不躾で無力な母親だ。
彼女なら、仮に行く気があっても純粋な能力不足で病院を探して辿り着くことが出来ないだろうが、そこまで強く私の顔を見たいなどと思ってもいないだろう。
行く気もなければ、行く能力もないといったところか。
自分を生んだ母親でありながら、尊敬もできず情けない有様ばかりで困る。
5件目、3月30日(金)9:05。
「おはようございます。ブレインズの稲垣です。体調、お悪いようですね。本日も無理なのかなと思っております。引き続き、メールできそうなときがありましたらご連絡をお待ちしておりますので、宜しくお願いします。」
今朝もまた稲垣さんから電話がかかってきている。
無断欠勤している状態なのに、労いの言葉をかけてくれており申し訳ない。
今なら、最後の稲垣さんの電話から1時間半経過した程度だ。
長らくお待たせしないうちに折り返しの連絡をしなければ。
病室で電話をかけてはいけないだろうと常識的に考える。
腕にはまだ点滴をされていて、勝手に外すわけにもいかない。
ひとまずは何かしらの一報をしようと、稲垣さん宛てにメールを書き始める。
“お疲れ様です。羽賀です。何度もお電話をいただいていたようで、申し訳ありません。今、留守番メッセージをすべて聞いたところです。まだ病院におりまして、起き上がれるようにはなりましたが、まだ精密検査なども控えているようで退院までに数日かかるかもしれません。今は予定が詳しくわからないのですが、日程がわかり次第、逐次ご連絡致します。”
書き終えて、即座に送信ボタンを押した。
稲垣さんの最初の電話からすでに1日以上経っており、その間に何度も連絡をもらっていて待たせすぎていることを考えると、そのメールがすぐにでも読まれるようひたすら願わずにいられなかった。
自分が倒れてここへ運ばれてくるまでの経緯と状況はおおよそ把握でき、自分なりにやるべき処理も一応はこれで終えた。
“この病院の場所と名前がわかるものは何かないだろうか。”
先ほどの看護師にまず聞けばよかったのだが、会話の中ではその考えに辿り着かなかった。
カバンの中に病院に関する書類か何かが入っていないかと探す。
ふと見ると枕元の棚の上に、壁のほうへ立てかけるようにして封筒が置いてあった。
A4サイズの封筒には”札幌共生病院 札幌市中央区南11条西10丁目”と書いてある。
住所を見るとだいたい予測していたとおり、職場から車で5分程度の距離、札幌市中心部から程近い。
口が開いた封筒の中を見ると、今後行う予定の検査の説明書や同意書が入っていた。
寄り添ってくれる家族がいたなら、こういった重要書類も自分で真っ先に書かずに済むのだろうが、いつもどんなときも私は一人だ。
こうして体が弱って入院する事態になると、気持ちも弱るせいか心細さと孤独感がより一層増す。
そんなことを考え始めたとき、数日前に勇から来ていた最後のメールを読んでいなかったことを思い出した。
今ならそのメールの内容がどんなものであっても静かに受け入れられる気がする。
そのメールを受信したのは3月27日、すでに3日前の出来事だ。
あの時、勇は私にどんなことを伝えたかったのかを、今初めて知る。
「別れた旦那がこんなに関わるのはおかしいのかもしれないけど、俺はやっぱり由紀には元気で楽しく暮らして欲しいんだ。俺がいない生活の中でも楽しく暮らして欲しい。だから、由紀が元気じゃなかったりつまらなそうだとすごく心配だよ。何も食べたくないときがあるのかもしれないけど、でも邪魔にならないものをなるべく買うから、ちゃんと持っていて元気になったときに少しずつでも食べて欲しいな。」
強引に部屋から追い出した後、勇はそんなメールを送ってくれていた。
手を差し伸べてくれた唯一の人である彼に、随分酷いことをしてしまった。
それなのに、まだ彼が包み込むような言葉を投げかけてくれていたとは。
降り出した雨の音を耳の片隅で聞きながら目を閉じ、勇の表情や、彼がくれた食料品に添えられた直筆メッセージを思い出すと涙が溢れた。
今現在の勇と連絡をとりたい。
3日前のままで止まってしまった勇ではなく、今現在の勇と。
病院にいることは言えないし、電話ができる状況下でもないが、メールだけでも今日交換できたらと。
「こないだは急に怒ってあんなことをしてごめんね。悪かったなと思ってる。あれからやっぱり具合が悪くて、勇にもらった食べ物は何も食べれてないよ。今日はだいぶ回復してきたから、これから少しずつでも食べようかな。いつも色々ありがとうね。」
まだ今後も私たちの交流が続いていくような、それを前提としているようなニュアンスでメールを書いて送信した。
彼と穏やかに交流を続けていくためには、今は彼に言えない事実が多い。
もらった食料品を捨ててしまったことも、もちろん現在病院にいることも。
嘘で塗り固めたメールでしかないが、彼と連絡をとりたかっただけだ。
時刻からすると、もうすぐ彼は昼休みだろう。
昼休みに入ってすぐにメールの返信をくれるかどうかで、彼が私を思う気持ちの大きさが測れる気がした。
メールを送信してから5分も経たずに勇から返信があった。
「由紀、今は元気になってきたのかな?ちっとも悪く思うことなんかないよ。誰でも気分が悪かったり苛立つときってあるから、俺に対してはそんなに気にすることないからね。こないだの食べ物、まだ手をつけてないのか。それはちょっとつらいね。今日もまた何か新しいもの買って持っていこうか?」
“この人はどこまで優しいんだろう。”
そう思いながらメールを読んでクスクスと泣き笑いをした。
ただ、最後の一言だけは困る。
今日すぐに自宅に立ち寄られても入院中で、特に宅配ボックスに食料品を置いていかれてもすぐに取り出せないのだから、それはどうにか避けないといけない。
勇に会いたい気持ちはあるが、すぐに自宅へ来ることを避けるために急いでメールに返信をする。
「実は仕事のトラブル対応があって、今は会社の近くのホテルに泊まってシフト勤務しているの。もしかしたら一週間くらい帰れないかもしれないから、また落ち着いたら会おう。」
出張だという理由にすると、出張先の地域の話題にもなりそうで嘘がつきにくい。
その地域のお土産や名産品を買うことになっても困る。
あれこれ思い巡らせた結果、嘘を隠すためのそんな嘘を重ねた。
仕事上のことだと伝えると、勇はそれ以上あまり深くは介入してこなかった。
「じゃ、落ち着いたらまた行くから、連絡ちょうだいね。」
そんなメールが届いて、この一連のやりとりのターンが締めくくられた。
何故だろう。
勇とのやりとりの後は、いつも何だかほっこりとした気持ちになれる。
事実としては、いまは赤の他人になったというのに、本当の他人と接したときとは明らかに違う感覚だ。
長年連れ添った夫婦だからだろうか。
勇と離婚した後は、また他の誰かと恋をしたり再婚することを視野に入れたときがあったが、私は一世一代の本気の決心をしたというのに、それに対して本物の本気の相手は結局現れなかった。
本気で人生をやり直そうとした私に、本気でかかってきたのは詐欺師のみ。
どうしてもその事実は心に暗い影を落とす。
私がこれから別の男性に新しく出会って、新しい人生を送ることなどできないということを暗示しているのかもしれない。
一時期、本気の恋をしたと思い込んでいた浮気相手、鳥羽のことも突然思い浮かんだ。
私を口説いて、特に体の関係を持つまでの間は、「別居中の妻とは離婚する方向なんだ。」などと言い、私との未来があるかのような気の引き方をしたではないか。
しかし、私との関係が勇にばれたとき、鳥羽の言ったことは「やっぱり、美人局だと思ったんだ。」。
そんな心ない言葉だった。
誰が美人局だというのだ。
他人に騙されたことはあっても、自分は決して他人を騙す側にはまわらない、罪を犯さない正しい人生を歩んでいる私の人格を侮辱されている。
世の中の甘い言葉と愛の囁きなども、その98%くらいは嘘だ。
人は皆、目先の欲しいものを手に入れるために、それらを切り札として使うだけなのだ。
世の中のほとんどの人のことは信じられない。
マラソンに精を出し、着実に成果を上げて表彰台に上っていた頃に近づいてきた人々も、そのときの旬の人に群がっているだけであって、少しでもマラソンの成績が落ちたり、ましてや走ることをやめてしまった人に興味を持ちつづける人などは一人もいなかった。
どの業界もそのようなものだろう。
“そのときに旬で話題性のある面白そうな人物に他人が寄ってくるだけ。”
またそうした鬱々とした感情が湧いてきて、頭を横に振った。
離婚した私に、その後の明るい未来など待ってはいなかった。
それだけは今わかっている。
様々な出来事を通して、今ようやく気が付いたこと。
“結局、勇が私の中では一番だった。”
二人が結婚する前、交際していた頃が一番楽しかっただろうか。
もしも私が死ぬ瞬間に、”自分の人生史上で一番楽しかったこと”を思い出すとしたら、いつのどのシーンが名場面として流れるだろう。
結婚前、勇と二人で行った温泉旅行。
海を見渡せる旅館の客室露天風呂から漁火を見て、遠くにはかもめの鳴き声が響いていた。
結婚後、勇が職場の同僚を8名ほど連れてきて、私が手料理を振舞ったり、お酒を注いだりして笑って一晩を過ごした光景。
自分の人生の良かった時期を思い出す。
勇と一緒に過ごした時期が、やはり自分の中では一番良かった時期だということに違いない。
“やっぱり彼はいい人だった。とても大事な存在だった。会いたい。”
今になってそんなことを思うとは、愚かすぎる。
雨が強くなりだした窓の外の景色に目をやると、この病室の片隅に一輪挿しの花がポツンとあるのが見えた。
窓の切れ端のあたりにあるミニテーブルにさりげなく置かれている。
水は少し減っているようで、数日放置されているのかもしれない。
もしくは、この部屋に数日前までいた入院患者の忘れ物か。
小さく淡いピンク色で可愛らしい花だ。
それを見て、眉間に寄せていた皺をほどくように眉を少し上げてみた。
今なら優しい気持ちになれるかもしれない。
あの小さな花のように、私の心にも小さな花が芽吹き、これからまた開花させていくことができたらいい。
小さく生まれた蕾のような優しい気持ちに、再び勇との交流の中で水やりをして花を咲かすことができたなら。
また人を信じたい、愛したい。
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