――《後記》にかえて――

『続日本紀』元正天皇 養老四年六月己酉条


 漆部司ノ令史従八以上丈部路はせつかべのみちの忌寸いみき石勝いわかつ直丁じきてい秦犬麻呂、司ノ漆ヲ盗ムニ坐セラレテ、ならび流罪るざいニ断ゼラル。ここおいテ石勝むすこ祖父おぢ麻呂まろ年十二、安頭あづ麻呂まろ年九、おと麻呂まろ年七、同言シテ曰ク。「父石勝己等ヲ養フガ為メニ、司ノ漆ヲ盗ミ用ユ。其ノ所犯ニよりテ、遠方ニ配役はいえきセラル。祖父麻呂等父ノ情ヲ慰センガ為ニ死ヲ冒シテ上陳ス。請フ、兄弟三人没セラレテ官奴かんぬト為リテ、父ノ重罪ヲあがなハン」ト。 詔シテ曰ク。「人ノ五常ヲうくルニ、仁義かく重ク、士ノ百行有ルニ、孝敬ヲ先ト為ス。今祖父麻呂等、身を没セラレテト為リ、父ガ犯罪ヲ贖テ、骨肉ヲ存ゼント欲ス。理矜愍きょうびんニ在リ。宜ク請フ所ニよりテ官奴ト為シ、すなはち父石勝ガ罪ヲ免ズベシ」ト。但シ、犬麻呂ハ刑部ノ断ニ依テ配処ニ発遣ス。

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養老美泉 John B. Rabitan @Rabitan

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