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「おじいさん、こんな胡散臭い話、まさか信じてるんじゃないでしょうねぇ……」
「え……? そ、そりゃ勿論じゃとも。あ、あはは……」
おばあさんに問い詰められたおじいさんは笑ってごまかします。その態度から、信じていた事が丸わかりなのに。おばあさんはそんなおじいさんの態度がおかしくて、クスクスと笑いました。
そう言う事があって数日後、おばあさんもおじいさんもすっかり赤いアレの事を忘れていた頃です。家に怪しげなセールスマンがやってきました。
「どもこんにちは。私、こう言う者です」
セールスマンの差し出した名刺には『幸せ配達人
「私、色んなお宅に幸せを届けているのですが、どのお宅からも大変好評を得ておりまして、それで本日はこちらにお邪魔した次第でございます」
「はぁ……」
「それで今回はですね。今巷で噂になっている赤いアレについて、お得なお話をさせて頂きたく……」
「あ、赤いアレですと!」
満の話したそのワードを聞いて、その場に同席していたおじいさんが過敏に反応します。その食いつきっぷりを見た満は、にやりと顔を歪ませました。
「ええ、赤いアレです。その様子だと興味がお有りのようですね。それは実にタイミングが良かった。実はこれ、最後の一品になってしまったのですよ。今を逃すともう二度とチャンスは訪れません」
「く、詳しく話を聞かせてくれい!」
「ちょ、おじいさん!」
満の露骨なセールストークに、おじいさんは身を乗り出します。目はランランと輝いて、鼻息も荒くなっていました。おばあさんはこの状況に困惑します。
満を追い出す
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894389777
満の話に乗る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894389935
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