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「……おじいさん、そんなにこの人の話を聞きたいのかい?」

「ああ、聞かん事には判断も出来んじゃろ」


 この言葉に納得してしまったおばあさんは、つい満の話を聞く事を許してしまいます。そこから先はずっとセールストークのターン。最初はいぶかししげだったおばあさんもすっかり彼の話に聞き入ってしまいます。

 そうして、満の言う赤いアレを分割払いで買う契約をその場でしてしまいました。


「お買い上げ有難うございます! いやあ、お客様はとてもラッキーでしたよ! 私も幸せを届けるお手伝いが出来てとても嬉しいです!」


 満が去ってから数日後、おばばさんの家に着払いで小包が届きます。中を開けるとそこには赤い置物が入っていました。それは一見とても素晴らしい出来の芸術品のように見えて、おばあさんもおじいさんも大変満足します。


「これで幸せになるのなら安いもんじゃ」

「売っても大金になりますしねえ」


 それから数日後、クーリングオフの期間が過ぎたところで、この赤いアレの正体が判明する事になりました。噂の赤いアレとは真っ赤な偽物、詐欺被害が続出しているので気を付けるようにと言うお触れが出回ってきたのです。

 この事実が分かって、おじいさんは大変ショックを受けました。


「なんてこった、騙されたァァァ! おばあさんがすぐに追い出さんからじゃぞ!」

「なんですか、ワシのせいにして!」


 夫婦の仲が険悪になったのは言うまでもありません。その後、おばあさん達はこの偽物の赤いアレのローン返済に随分と苦しめられたと言う話です。


(おしまい)



 詐欺セールスマンに騙されたエンド ED39


https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894396928

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