140
家の前まで来たところで一反もめんは優しく着地します。こうしておばあさん達は無事に自分の家に戻れたのでした。
「じゃあ、達者でな~」
「有難う、赤い一反もめんさん」
おばあさんは役目を終えて去ろうとしている一反もめんにお礼を言います。その時、まるでお見合い番組での抜け駆けを止める若者のような勢いで、おじいさんが走ってきました。
「ちょっと待ったァァ!」
「おじいさん?」
「最後に証拠を残させてくれ。みんなに自慢したいんじゃ」
このおじいさんの主張におばあさんは呆れます。その手にはサイン色紙とスマホと、更に首には一眼レフのカメラを下げていました。一反もめんもこの状況に苦笑いです。
「ま、まぁいいぜ。キレイにかっこよく撮ってくれよな」
こうしておじいさんは赤い一反もめんの記録を残しまくり、一反もめんも調子に乗って様々なポージングを披露してくれました。
このサービス精神満点な対応におじいさんも大満足です。
「有難う、一生の宝物にしますじゃ」
「ああ、大事にしてくれよな!」
意気投合した一反もめんとおじいさんはガッチリと握手をして、今度こそ去っていきました。おばあさん達は見えなくなるまでずっと手を振って見送ります。
その後、2人にはまた平穏な日常が戻ってきました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行く日々です。
ひとつだけ違っていたのは、おじいさんは赤いアレの事を本にしてちょっとだけ話題になったと言う事でしょうか。赤いアレファンの人がたまに家に訪れて、来客に当時の話をするのも老夫婦の楽しみのひとつとなっています。
2人の今の夢は赤いアレ記念博物館を建てる事。2人が冒険した日々を本にして、それがメディアミックスされれば、それも遠い夢ではないかも知れません。
その夢に一歩でも近付くために、おばあさんはWEB小説サイトにノンフィクションの冒険記を書き始めます。文才があったのか、すぐに結構な人気になって早速書籍化の話が打診されているとかいないとか。
「ふふ、ついにワシも書籍化作家様かのう……」
カクヨムの執筆画面を開いたおばあさんは、ニヤけながら今日も執筆を続けるのでした。めでたしめでたし。
(おしまい)
おばあさん編 トゥルーエンド
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894398555
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます