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「そうじゃのう……ここまで探したらもう十分じゃろ。帰ろうか、おじいさん」
「ああ、帰ろう。ワシもそろそろいつもの生活が恋しくなってきたところじゃったんじゃよ」
こうしておばあさん達は赤いアレ探しをあきらめ、帰路につきました。この場所まで来るのに右往左往して長々と周りに道をしていたのもあって、帰りはまっすぐ帰ろうと言う話になります。
「じゃが、おじいさんよ、道は分かるのけ?」
「ああ、ワシに任せんしゃい」
あんまりおじいさんが自信たっぷりだったので、おばあさんは帰り道をおじいさんに任せて自分は後ろをついていく事にしました。その後姿を頼もしく思いながら歩いていると、やがて周りに濃い霧が発生してきます。
「おじいさん、気をつけてくだされよ。足を踏み外したら大怪我じゃ」
「はは、大丈夫じゃ。ワシは山のプロじゃぞ、そんな簡単にうわあああ!」
「お、おじいさキャアアア!」
調子に乗ったおじいさんが足を踏み外したのとほぼ同時に、おばあさんも足を踏み外します。ちょうどそこにが崖があったようなのでした。
幸い、2人共大きな怪我をする事もなくその崖の下に落ちたのですが、どうにも雰囲気が変なのです。不思議な気配に満たされていて、まるで聞こえない声まで聞こえてきそうな感じでした。
「お、おじいさん、ここは何か変じゃぞ……」
「そうじゃのう。気を付けねばのう……」
その違和感の正体は霧が晴れた時に判明します。崖の下にあったのは、妖怪の住む妖怪の村だったのでした。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894369782
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