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 偶然妖怪の村に辿り着いてしまったおばあさん達は困ってしまいます。何しろ、その村には妖怪しかいないのです。人間はおばあさん達2人だけ。村の住人の妖怪達はおばあさん達が知っているお馴染みのものもいれば、全く見た事も聞いた事もないような初めて見るものもいます。

 完全アウェー状態の中、おばあさん達が動けないでいると、可愛らしい子供の妖怪が近付いてきました。つぶらなひとつ目が愛らしいひとつ目小僧です。


「こんにちは。2人はどうやってここに来たの?」

「あ、ああ。ワシらは迷い込んでしまったようなんじゃよ」

「人避けの霧が人を受け入れるだなんて珍しいな。ねぇ、一緒に来て!」


 小僧はおばあさんの腕を引っ張ります。仕方なくおばあさんはこの妖怪についていく事にしました。おじいさんも焦りながら後を追います。

 そうして辿り着いた先は、とてもとても大きなお屋敷でした。


「村長に会ってよ。きっと良くしてくれるよ」

「あ、有難う……」


 こうして、2人は妖怪の村の村長に会う事になります。家の応接間に通されて待っていると、大きな鬼によく似た妖怪が入ってきます。その妖怪の姿を見た2人はとてもびっくりしました。


「ヒイッ! 鬼……」

「はっはっは、よく勘違いされますが、違いますじゃ。ワシはただ大きな妖怪と言うだけなのですじゃよ」

「はぁ、そうなのですか……それにしても大きいですねぇ」

「これでも目一杯小さくなっておりますのじゃ、元の姿になると山よりも大きくなりますのでのう……」


 妖怪の名前はダイダラボッチと言うそうです。この妖怪が山の主と言う事で、慕う妖怪が集まり、それが村になっていったのだとか。村のいきさつを聞いたところで、おじいさんが話を切り出します。


「あの、ワシらは帰れますか?」

「霧が晴れんとどうにもならんのう」

「で、この霧は……」

「霧は気まぐれなんじゃ。今すぐ晴れるかもしれんし、5年後かも知れん」


 この衝撃の事実を知って、おばあさん達はショックを受けます。言葉を失っている2人に、村長はずいっと身を乗り出してきました。


「そこでじゃ、お前さん達、この村で暮らしてみんか? 霧が晴れるまででも良いのじゃ」

「ここから出られないのならそれは願ったりかなったりですじゃよ。のう、おばあさん」

「ええ、ワシもどうやってそれを頼もうかと考えていたところじゃ」

「うむ、これで交渉成立じゃのう」


 こうして2人は妖怪の村でしばらく暮らす事となりました。最初は霧が晴れるまでと言う約束だったのですが、存外居心地が良かったために、霧が晴れても2人はいついてしまいます。


 それからあっと言う間に3年の月日が経ちました。おばあさん達は村の住人の妖怪達ともすっかり仲良しです。暮らしには慣れたものの、長くこの村にいると、故郷の村も段々と恋しくなってきました。

 そこで、2人は妖怪の村から出ようと思い始めます。


 霧が出てくるとまた村に閉じ込められるため、おばあさん達は霧が晴れているタイミングを見計らって村から出ようとしました。

 けれど、いくら出口に向かってもそこに辿り着けません。2人を村の外に出させなようにと、何らかのおまじないがかかっているみたいでした。


 この仕組みの謎を解かないと、きっと外には出られないのでしょう。この仕打ちにおばあさん達はすっかり困ってしまいます。



 仕方がないので、この村に腰を据える

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894369816

 何とか脱出の方法を考える

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894389193

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