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「折角ですし、寄ってみましょうよ」

「そ、そうか? ……ま、まぁ、おばあさんがそう言うのなら……」


 おじいさんはどこか気乗りしないような態度を見せつつ、おばあさんの意思を尊重して村に向かって歩き始めます。おばあさんも後を付いてきました。

 いざ入ってしまうと村人達は意外とフレンドリーで、外からの印象は当てにならないなとおばあさんは考えを改めます。


 情報収集的には、この村も他の村と同じく特に目ぼしい情報は得られませんでした。おばあさんが村の広場で休んでいると、そこに人懐っこい犬がやってきます。

 この犬を気に入ったおばあさんは、優しく頭をなでてやりました。


「お前さんは人懐っこいのう。誰かに飼われているのかの?」

「わん!」

「そうか、お前さんは喋れない方の犬なんじゃな」


 おばあさんはこの犬らしい犬の顎も掻いてやります。犬はとても幸せそうな顔をしました。その顔を見るだけで、おばあさんもとても幸せな気持ちになります。

 そうして、おばあさんが犬と戯れていると、別ルートで情報収集をしていたおじいさんもやってきました。


「ダメじゃ、この村も他の村と一緒みたいじゃの」

「中々うまくはいきませんねぇ……」


 こうして2人が合流したその時です。突如村に激震が走りました。なんと、武装した複数の鬼が村を襲いにやってきたのです。

 広場で休んでいた2人も、この非常事態にすぐに立ち上がりました。


「お、鬼じゃ!」

「おばあさん!」


 おじいさんはすぐにおばあさんに目配せをします。おばあさんもその意図を汲み取り、黙って軽くうなずきました。



 これは逃げる合図、すぐに逃げ出そう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894369444

 これは戦う合図、戦って鬼を追い出そう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894369546

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