127
「じゃあおじいさん、鬼をやっつけましょう!」
「え? ちょ」
おじいさんは戸惑っていましたが、おばあさんはすぐに戦闘準備を始めます。こう言う時のために用意していた武器のチェーンソーを取り出して、おばあさんは鬼に向かって襲いかかりました。
「お覚悟!」
「ギャアアア!」
最初に向かってきた鬼は不意打ちでバラバラに出来ました。おじいさんも覚悟を決めて手持ちの道具の中からナタを取り出します。2人共屈強な鬼相手に懸命に戦うのですが、何しろ鬼の数が多くて中々決着が尽きません。
その内、おばあさんの体力も限界が近付いてきます。5人目の鬼をバラバラにしたところで、おばあさんに隙が生まれてしまいました。
「へへ、ババア、調子に乗るんもここまでや!」
その隙を見逃す鬼ではありません。金棒を構えた鬼がおばあさんに襲いかかります。おばあさんもギリでその攻撃に気付いたのですが、タイミング的に避ける事も金棒を弾く事も出来そうにありませんでした。
「しまっ……」
「死ねやあああ!」
「わおーん!」
おばあさん最大のピンチに飛び出したのは、さっきまでかわいがっていた犬でした。この犬の犠牲でおばあさんは何とかピンチから脱します。
「何や犬っころ、死んどけや!」
「ぎゃうーん!」
鬼の一撃で、犬は呆気なく死んでしまいました。それを見たおばあさんは、何かがぷつりと切れてしまいます。
「あんた、やっちゃいけない事をやっちまったね……」
「な、なんや……」
その後は、怒りで我を忘れたおばあさんの無双状態。近場にいる鬼をぶった切りまくります。その狂気のオーラに恐れをなした鬼達は我先にと逃げ出し、おばあさん達の勝利となりました。
鬼がいなくなって我に返ったおばあさんの前に、この隠れ里の村長がやって来ます。
「有難うございます。あなた方は村の恩人です」
「あの、この犬を葬ってあげてくれんじゃろうか。ワシの命の恩人なんじゃ」
「分かりました。手厚く弔います」
犬は焼かれ、お墓に遺骨が埋められます。そこには赤い花が咲きました。おばあさんはその花を摘むと、犬の事を思います。
「もうこの花が赤いアレでいいじゃろ。なぁ、おじいさん」
「そうじゃな。じゃあこの花を土産に村に帰ろうか」
こうして2人は故郷の村に戻ります。赤い花の種を庭に蒔くと、毎年春には赤い花を咲かせました。2人はその花をいつまでも大事にしましたとさ。
(おしまい)
赤い花エンド ED35
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894396928
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます