79

「汚物は消毒じゃああ~ッ!」


 おばあさんは肉塊を庭に出すと、すぐに火炎放射器で燃やし始めました。ゾンビだった塊は思いのほか勢い良く燃えます。この燃える様子を満足気に眺めていたおばあさんでしたが、その時、不意に突風が吹き荒れました。

 強く吹く風は、ゾンビを燃やしていた火を家に燃え移らせてしまいます。


「な、何じゃとぉぉぉ~っ!」


 それはほんの一瞬の出来事でした。おばあさんの目の前で家が勢いよく燃え広がっていきます。空気が乾燥していたのと、更に風が強く吹いたのもあって、消火活動をする間もなく、おじいさんとおばあさんの愛の巣はすっかり全焼してしまったのでした。

 家が村の外れだったので、どこにも延焼しなかったのは不幸中の幸いだったと言えるでしょう。


 自分の失態で家を失い、失意のどん底に落ちたおばあさんは旅に出ます。後で戻ってくるおじいさんのために『探さないでください』と書いた書き置きを残して――。


 旅に出たおばあさんは、その道中で白いキツネに出会います。おばあさんは、そのキツネの美しさに不思議な縁を感じるのでした。



 この白キツネについていく

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894256851

 今夜はキツネ鍋じゃ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894331230

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る