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「あの歌の聞こえる方に行けば、何か分かるかもしれんのう……」


 覚悟を決めたおじいさんは、歌の流れてくる方に向かって歩き始めました。暗いので距離感は分かりませんが、一歩ずつ進む度に歌声が大きくなってくるので、間違った方に進んでいないと言うのは分かります。

 ある程度歩いたところで、何故か明かりが見えてきました。どうやら、歌もその明かりの方から聞こえてきているようです。


「何だか分からんが、行ってみよう!」


 暗闇の中から見える光は、まるで救いの光のようにおじいさんからは見えました。はやる気持ちが足を早く動かせて、おじいさんは駆け出します。程なくして、光の元に無事に辿り着けました。

 そこで、おじいさんはついに歌声の正体を目にします。


「ハハッ! 珍しいお客さんだね!」

「お、お前さんが歌っておった……のか?」


 明るい部屋で陽気に歌っていたのは人ではありませんでした。それは全身が真っ黒で丸くて大きな耳を持ち、人間のように2本足で立つ大きなネズミだったのです。そのネズミは洋風の服を着て、洋風の靴を履き、白い手袋をしていました。


「よくここまで来たね! すごいよ」

「お前さん、何者なんじゃ……」

「それより君はかなり疲れた顔をしているようだけど、どうしたんだい?」


 黒ネズミの勢いに飲まれたおじいさんは、自分の質問を思わず引っ込めます。そうして、黒ネズミからの質問に答えていいのかどうかを考え始めました。



 素直に事情を話す

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894234111

 怖いので逃げる

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894234441

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