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「実はのう、ワシは誤ってこの穴に落ちてしもうたんじゃ。地上に戻りたいんじゃが、どうすればいいのかのう……」

「へぇ、それは大変だね。そうだ! ボクにいいアイディアがあるよ!」


 事情をネズミに話したところ、彼はおじいさんについてくるように言いました。何も分からないおじいさんはこの話を信じるしかありません。

 陽気に鼻歌を歌いながら歩くネズミについていくと、そこの先には立派なドアがありました。


「このドアを抜ければ、素敵な世界が君を待っているよ。どんな悩みもすぐに忘れちゃうんだ」

「えっと、別にワシは……」

「さあ、夢の世界にご招待するよ!」


 おじいさんの意見は完全にスルーされ、ネズミはドアを開ける事を勧めます。おじいさんが困惑していると、ネズミはじいっとおじいさんの顔を見つめ始めました。


「ほら、早く行かないと。楽しいお友達が待っているよ」

「あ、ああ……お友達は待たせちゃいかんのう……」

「では夢の国に1名様ご招待~♪ おじいさん良かったね。ハハッ!」


 おじいさんは焦点の定まらない目でそのドアを開け、その先にあった夢の国に足を踏み入れます。

 その後、おじいさんはその夢の国で一生幸せに暮らしましたとさ。


(おしまい)



 夢の国エンド ED15


https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894419987

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