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「あっ、ちょっとワシ、用事を思い出したんじゃぁ~ッ!」

「ちょ、おじいさん?」


 おじいさんは天狗が止めるのも聞かず、勢いよく走り出しました。捕まってはならぬと言う強迫観念がおじいさんの足を動かし続けます。天狗もまたおじいさんを無理やり引き留めようとはしませんでした。

 気がつけば、おじいさんは1人で無鉄砲に走り続けていたのです。


「はぁはぁ……上手く逃げられたかの?」


 ある程度走ったところで、おじいさんは振り返りました。当然、もう見える範囲に天狗はいません。安心したおじいさんが歩きながら前を向こうとしたその時です。


「うわあああ~っ!」


 おじいさんは足を踏み外し、何故か足元にあった大きな穴に落ちてしまいました。その穴はかなり深く、おじいさんはゴロンゴロンと勢い良くずうっと軽がり続けてしまいます。


 転がりも転がり、ようやく勢いも弱まったところでおじいさんは立ち上がりました。そこは穴の中なので周りは真っ暗。何も分かりません。


「困ったのう、どうすればいいんじゃ……」


 おじいさんは顎に手を乗せて考え始めました。



 何も分からないので、まずは様子をうかがう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894222065

 何も分からないので、とにかく歩き出す

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894233853

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