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「そりゃまぁ、ワシにも悪いところはあったじゃろうなあ。あはは」

「じゃろう? ワシの目は誤魔化されんぞ」

「時に大将、その鼻、実に立派ですのう」

「おお! そうじゃろうそうじゃろう!」


 罪を追求する流れから、巧みな話術でおじいさんは大天狗を褒めまくります。お世辞慣れしていなかったのか、おじいさんが話すからこそ響いたのか、大天狗はこのおべっか攻撃にすっかり気を良くするのでした。


「お主、中々に面白いやつよのう。気に入ったぞ! 褒美にこのうちわをやろう」

「あ、有難うございます」


 こうして大天狗に気に入られたおじいさんは、天狗のうちわをもらいます。このうちわは、一振りで突風を生み出すと言う伝説のお宝でした。


 大天狗との話はその後も大いに話が盛り上がり、充実した時間は過ぎていきました。やがて時間になったので、おじいさんと天狗は大天狗の間を後にします。


「おじいさんすごいな。うちわ、大事に使ってくれよ」

「これは家宝にせんといかんのう」


 2人は笑い合い、会話を楽しみながら天狗城から出てきました。そこで、天狗はおじいさんに向き合います。


「では、里を出るまでは私が付き合いましょう。しっかり捕まってくださいね」


 そう言われたおじいさんその言葉をしっかり守り、天狗は空に飛び立ちます。そうして、2人は天狗の里を出ました。

 それから、おじいさんの知っている所まで来た所で地上に降り立ちます。


「ここからならおじいさんも帰れるんですよね?」

「ああそうじゃ。天狗さん、有難うな」

「いえいえ、ではお達者で」


 おじいさんを降ろした天狗はまた自分の住む里へと帰っていきました。おじいさんは天狗が見えなくなるまで手を振って別れを惜しみます。


 さて、1人になったおじいさんは地元に向けて歩こうとしました。その手には大天狗に貰った天狗のうちわ。

 この時、おじいさんの心の中では好奇心がうずき始めていたのでした。



 ちょっとこのうちわの性能を試してみよう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894205005

 いや、今は使う時期じゃないぞ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894221923

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