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「いや、折角のお誘いじゃが、ワシは遠慮させていただくよ。海の景色が見られただけで十分ですからの」
「そ、そんな……是非とも!」
「いや、もうワシは帰るよ。じゃあの」
おじいさんが村人の誘いを断って帰ろうとすると、何故だか村人が追いかけてきます。その勢いに恐怖を感じたおじいさんは、一心不乱に駆け出しました。
「待って! 待ってくださーい!」
「なんでワシに構うんじゃー!」
「おじいさんに来てもらわないと困るんですーっ!」
「嫌じゃ、ワシは帰るんじゃー!」
村人の必死さに怖いものを感じたおじいさんは、死にものぐるいで走ります。無我夢中で走っていたので、当然、道に迷ってしまいました。
「やれやれ、村からの追手からは逃げられたようじゃが……ここはどこじゃ?」
全く知らない場所に来てしまっておじいさんが困り果てていると、空から黒い影が降りてきます。一体今度は何事かとおじいさんは目を凝らしました。
やがておじいさんの目も慣れて、逆光になっていた黒い影もはっきり確認出来るようになります。
その影の正体は――なんと、天狗なのでした。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894178858
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