第6話
なぜか疲れた風のクロッピーに
「ちょうどいいや。今は放課後だからとりあえず学園内を案内してあげるよ」と連れられ俺はB&L学園内を見て回った。
さすがゲーム内の学校、私立と言う設定とは言え現実にある高校とは違う。手入れされた英国庭園のような青々とした広い庭、新築のように真っ白で美しい校舎、広々とした校庭や運動施設にやたらと立派な学生食堂などなど「どこのお金持ちが通ってんだよ」なレベルの「普通の」高校である。たしかに乙女ゲーム内の学校って無駄におしゃれで立派だよな。女子はそういう外観的なものにもこだわるって言うか夢を見るからなあ。あ、俺もロマンチックな性格乙女だから見た目や雰囲気は気にするよ!イメージがキリスト教系のおしゃれな学校っていいよね!
ちなみに学生寮もあり、こちらの世界に突然トリップしてしまった俺はもちろん帰る家も何もないので、その寮に入る事になるそうだ。
「学園内はざっとこんなとこだね~。なにか質問は? 」
「ありまくりなんだけど。俺、これからどうしたらいいの」
「まあ、そうなるよね」
とクロッピーは先程王子様系、もとい
「おまえ、それどこから」
「んー、設定を見るとキミはバグとして攻略キャラの一人として登録されてしまったから、プレイヤーが来るまでこの学園で普通に生活するしかないね。クラス登録もされてるよ。2年Cクラス、白戸君と一緒だね。そうそう、さっきあった3人は皆2年だよ。キミは・・・、元々高2なのかな? 」
「ああ」
「じゃあちょうど良かった、話しやすいよね。白戸君は次期生徒会長候補で、ああ見えて面倒見が良いから勉強とか分からない事があったら彼に聞くといいよ。このゲームについてならなんでも教えてあげられるけど、さすがにボクでも授業内容は分からないからね」
「俺、明日から学校に行くの? いきなり? 」
「うん。プレイヤーなら転校生と言う設定でこの学校にやって来て、何でも初めての者として扱われるけど、キミはここのキャラクターとして既に存在している事になっているから、明日から❛今までこの学校の生徒でしたよ~❜って顔でしれっと授業に出る」
「はあ!? んな事できんの!? 授業は!? 勉強は!? 」
「みんな、君は元々いるものとして扱うよ、そういう設定だから適当に合わせておけば大丈夫。授業内容は、君は同学年だし時間軸は君の所と同じ流れだから大体同じ事してるんじゃない? ここはまあランクはそこそこだけど、無茶苦茶偏差値の高い高校って言う設定でもないからついていけると思うよ。白戸君にもサポートしてもらうよう伝えておくから」
「ほんと俺の扱い雑だな。いわば被害者だよ、俺!? 」
「キミは攻略キャラだからね~。まあ、ここでの生活はそんなに悪いもんじゃないよ。学食で3食きちんと出してくれるし寝る所は寮がある。基本学内しか生活しないからお金の心配もないよ。この後寮まで連れて行って寮長に紹介するからそこでの規則やなんかは彼に聞いてもらうとして。時間になったら夕食を学食で取って、後はお風呂入って今日は早めに寝るといいよ。朝は2年の誰かにキミを迎えに行ってもらうから、それから一緒に登校するといい」
【ありおれ】ありのままを見て欲しいんだよ俺は! 浅野新 @a_rata
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