第5話
心が折れかけている俺に容赦なく王子系イケメンが畳みかける。
「落ち込んでいる所悪いけど、俺達これから生徒会役員会があって時間がないんだ。後はこのクロッピーに聞いてくれ。あ、自己紹介がまだだったな。俺は
白戸が二人に視線を投げかけると、スポーツ系が
「
可愛い系が「
三人は「じゃ」とあっさりとこの場を去って行く。
おいおいおい放置か。プレイヤーじゃなくなった途端なんだこの塩対応。
小さくなっていく三人の背中を呆然と眺めていると、後ろで黒猫キャラクターがこほん、と咳ばらいをし、山田君、と俺の名前を呼んだ。
「あ~、まあ、君も攻略キャラクターって事は彼らにとって主人公を取り合うライバルの一人ってわけだから、ああいう態度になっちゃうんだよ。悪く思わないでね。ボクはこのゲーム、B&L学園の公式キャラクター、クロッピーって言うんだ。基本的にプレイヤーに色々とゲームの説明をする役割だから、ボクが一番ここのシステムについては知ってるからなんでも聞いてね。今回の事は災難だったけど、ホラーゲームじゃないから平和でのんびりした世界だしクリアさえすれば君の世界には帰れる。イケメンはいっぱいいるんだしせっかくだから楽しんで行ってよ」
目の保養にしかならないけどな・・・。だけど今はたとえ目の前にいるのがイケメンにほど遠くても、背が小さくてずんぐりむっくり体形の短足でしかも人間ですらなくても親切にしてくれる事が新鮮で嬉しい。
「俺に優しくしてくれるのはクロッピー君だけかあ・・・」
「何考えんのか分かんないけどボクは恋愛対象外キャラだからね。ヘンな事考えるのはやめてよ」
「いきなり辛辣!! ここのゲームキャラこんなんばっかりか!! 誰がお前みたいな2頭身キャラに惚れるか! 大体身長も俺のヒザあたりまでしかないって挿入も無理じゃん! 」
「いきなり下ネタぶっこむなよ! ボクはこのゲームで唯一の癒しキャラって設定なんだよ、キャラのイメージを壊すな!! 」
「お前が8頭身キャラ、身長180cm越えのイケメンなら獣人でもオッケーなんだけどその姿じゃ犯罪臭しかしないわ。ごめんな」
「勝手にフラれた事になってる! 」
「あ、でも実はそんなお前にも優しくしてたらカエルの王子様みたいにラストはイケメン獣人に変身してラヴいちゃエンディングになんて」
「ならないから。そんな裏シナリオうちにはないから」
「なーんだ、じゃあお前に媚び売るのやめよ」
「キミ本当にいい性格してるよね・・・」
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