3話

 セリアに村を案内してもらったあと、セリアとは別れて、俺はこれからしばらく滞在するであろう宿探しを始めた。


 ひとことで宿といっても、何軒かまわってみたが、どこの宿がいいかわからなかった。


「どこかいいところないかなぁ。」


 やっぱりお金は安いほうがいいし、食事は付いていた方がなにかと便利だしなぁ...。


 そんなことをやっているうちにあたりは暗くなっていって、少し急がなくてはいけなくなった。

 迷っていたところ後ろから誰かが声をかけてきた。


「どうした?なにか困っているのか?」


 話しかけてきたのはキットだった。昼間に初めてあったときの服装とは変わって茶色のユルめな格好をしていた。


「ああ。キットか。今、宿を探していたんだ。多分、そこそこ長い間そこに滞在することになるだろうからちゃんとしたところを選びたくてさ。」


「そっか。お前はこの村に来たばかりだからなぁ。」


 と言って、キットはあごを撫でた。そして、突然思いついたように言った。


「よし。ならば、俺がこの村で一番いい宿を紹介してやる!」


「ほんとか!ありがとう。助かるよ!」


 そうして、俺はキットに案内されることになった。案内されたところは、一泊食事付き4ゴールドで自分的にはにはちょっときつい出費だが、それでもなかなか安いところだということだった。

 。さきほどまで自分がまわったところは一泊12ゴールドが当たり前で、食事はついてないとことは多く、4ゴールドで泊まれるところは本当に安いところといえよう。


 入口のドアを開けると、柔らかな声で挨拶をしてきた。


「おかえりなさいませー。」


 布でくるんだような、着物みたいなものをきて出迎えてくれた。20代くらいだろうか。とても美人で、なにより、とてもグラマーな体型で、そのとても大きくて柔らかそうなものに目を向けずにはいられなかった。


「私はミトレスといいます。よろしくお願いします。」


 とてもにこやかに接してくれた。

 営業スマイルなのか、本当に優しい人なのかわからないくらいの完璧な笑顔だった。


「あっ、、はい!お、俺はカズキといいます。今日はこっ、、ここの宿を利用しにきました!!」


 なんかとてつもなく緊張してしまった。

 大人っぽすぎるから。なんかダメなんだよなぁ。


 半引きこもり生活をしていた俺にはハードルが高すぎた。


「しばらくここに滞在させてもらいたいんですけど大丈夫ですか?といっても今は二日分のゴールドしかないのですが...。」


 と言うと、ミトレスがしょうがないなぁというような顔で。


「その辺はツケとかで大丈夫ですよ。安心してくださいね。」


 と言ってくれた。

 と、同時に不思議そうに俺のことをながめた。


「その黒い珍しい服はどこで買われたんですか?」


そりゃあ気になるよなぁ。


「あぁ。これは遠く東の国のものです。俺の故郷なんですよ。」

と言うと、納得してくれた。


 そのあと、俺はミトレスに泊まる部屋を案内してもらった。

 その部屋は6畳ぐらいの広さでベッドにデスクと椅子があるフツーの部屋だった。泊まるには十分な部屋だ。


 部屋に入ってすぐにベッドにダイブした。


 ほんと、今日はまじでいろんなことがありすぎて最初わけわかんなかったけど、なんだか楽しく暮らしていけそうだなぁ。でも、転生特典がもらえなかったのはかなり痛かったよほんと。あの女神、今度会ったら一発殴ってやりたい!


「はぁぁぁあ〜。」


 ともかく、泊まる場所も確保できたし、明日はセリアに教えてもらいながら必要なものを揃えよう。お金もないし、クエストとかも多分たくさん受けなきゃいけないだろうからな。


 そんなことを思いながら、自然にまぶたを閉じていった。











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なんだ、この異世界生活は⁉︎ りゅーせー @ryu_ryu

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