第16話 ウルトラマンタロウについて

 すこし間が空いてしまいましたね。

 諸事情でちょいと忙しかったと言い訳しておいて、ウルトラマンタロウについてお話をば。


 さてさて、このウルトラマンタロウ。名前もそうですが、全体的に作風がコミカルでして出てくる怪獣も宇宙人も愛らしいものや案外えげつないものまでかなりバラエティーに富んでいる作品と言えるでしょう。

 番組を知らなくてもOPなら知っている、聞いたことあるって人も多いんじゃないでしょうか。ウルトラの父、ウルトラの母という出だしで始まるOPですが結構かっこいい伴奏なんすよね。

 そうなんです、ここで初めてウルトラの母というキャラクターが設定されたんですね。ウルトラの父はエースの時点で登場していたのですが、このあたりの順番は何があったんでしょうね?


 さて、今作に登場するのは通称『大怪獣』と呼ばれ、なんとあの超獣よりも強いという謳い文句があったりなかったり、このあたりはメディアでコロコロ変わるので何とも言えないですね。

 中にはちびっこたちにトラウマを植え付けるような怪獣も出てきたり。例えば不死身の再生能力を持つ怪獣やウルトラマンすらも殺す毒をもったあいつとか。

 何気にウルトラマン世界の鳥怪獣ってやべーの多いですね。


 ウルトラマンタロウはコメディチックな演出、ストーリーが多いと言いましたがこれは誇張なく本当の事で、中でも防衛隊であるZATのマシン、ラピッドパンダなる車両はなかなかのインパクトを与える存在でした。活躍ってか見た目がね……どうしたらあんな見た目になるのか本気で疑問だったよ……

 さらに基地であるZATステーションは東京の都心ど真ん中にあって緊急時には基地そのものが飛行して脱出できるというクレバーな設定。

 平成シリーズのウルトラマンガイアのXIGベースの原型はすでにあった……?


 それだけに終わらないのがウルトラマンタロウ。タロウは作中では新米ウルトラマンであり、ウルトラ兄弟の末っ子という設定です。今だともう子供もいて、貫禄のあるキャラですがこの当時は結構、ウカツなことも多いんですよね。

 そんなタロウと協力して怪獣たちと戦ってきたZATは毎度とんちきな作戦やアイテムを使って怪獣たちの弱点を突いたり、タロウのピンチを救ってくれます。

 水の中に潜む怪獣を炙り出す為に電流を放出したり、お酒の好きな怪獣に大量の酒を飲ましたり、目が見えなくなったタロウのために巨大な鈴を作り出してフォローしたり、回転のこぎりで切りつけてきたり……意外なことに怪獣撃退率も高かったり。

 タロウもまた必殺のストリウム光線を放つときに技名を叫んだり、アクロバティックなジャンプで怪獣を翻弄したり、自爆技であるウルトラダイナマイトを使ったりと既存のシリーズに劣らぬ新要素を引っ提げていました。

 

 そのほか、タロウではエース並みに兄弟たちが助けに来てくれるのです。とはいえ、主人公はタロウ。兄弟たちはあんまり活躍せず、むしろ敵の宇宙人や怪獣に倒されてしまうシーンが多々あったり……ですがエンペラ星人との決戦は兄弟が一堂に集結して巨悪を倒すという名シーンだと思っているんですよね。

 ただ、あえて言うと僕はタロウ本編でバードンに倒されたゾフィーを「ファイアーヘッド」というあだ名で呼ぶのは嫌いです。

 まぁ、このあたりギャグだよ、ジョークだよって気軽に考えてる人もいるだろうし、とやかくは言いませんが。


 それでまだ終わらないのがタロウ。意外と民間人の犠牲者が多いタロウなんでうが、同時にやたらと強靭な人もいまして、かつて帰ってきたウルトラマンを苦しめたベムスターが二世として再登場。

 そんなベムスターを相手にナイフ一本で互角に戦うゲストキャラが出てきていよいよもってウルトラ世界の住民ってタフだなと痛感するに至る。

 最終的に、タロウは変身することなく敵の宇宙人を倒すという話で物語が締めくくられます。


 ですが。

 こんなある種、明るい路線はどうやら当時のファンの人たちには不評だったらしいです。視聴率とかまではわかりませんが、所謂リアル路線、ハード路線で評価の高いストーリーがあったこともあるのでしょうけど、明るすぎるタロウは「子供向けすぎるから嫌だ」という評価が少なからずあったようです。

 というわりにはタロウは首がすっ飛んだりするんですけど。

 それに何のかんのいってもウルトラマンは「子供向け」です。そりゃ大人もうなるようなストーリーもあります。ですが、本質的にはやはりちびっこ番組なんです。

 ウルトラマンタロウはそのあたりへの原点回帰な側面もあったんじゃないかなぁと思っているんですよね。

 それにウルトラマンと人間が協力し合って怪獣を倒すって要素は昨今、なかなかみられなくなった気がしてさみしいですから。まぁこれに関しては僕たちが何も言えない「大人の事情」が絡んでくるんですけどね……


 しかし僕はこのタロウのなんでもあり、試行錯誤の末の暴走、結構好きです。

 まぁ確かにギャグによりすぎでしょって部分はあるんですけど、どうせなら面白おかしく見たいじゃないですか。

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