第15話 ウルトラマンAについて

 ウルトラマンAはシリーズを通してみても珍しい設定ではないでしょうか。

 まず見た目からして歴代通して独立したデザインになっていると思います。聞けばこれは観音様をモチーフにしたとか。

 さらにはその変身方法及び変身する若者が二人、そして男女というところでしょうか。

 これは男女を超越した超人であるという意味も含まれているらしいのですが、実際のところはどうなんでしょうね?

 北斗と南の二人はOPの歌詞にもある通り、男性と女性で、ともにウルトラリングと呼ばれる指輪型アイテムを使って変身します。


 ですが、この構図は途中でなくなってしまうんですよね。南役の役者さんの降板によって以降、ウルトラマンAは北斗一人だけで変身することになります。この理由に関しては僕個人からどうこういうことはないです。理由もよくわかりませんし、憶測やデマもあるでしょうから。

 とはいえこの新しい試みが途中でなくなったのは残念といえましょう。

 男女による変身が再びよみがえったのはそれから十数年後と思うとまぁ、色々あったのでしょう。


 またウルトラマンAからいわゆるウルトラ兄弟という設定が明確になっていきました。一応ウルトラ兄弟の設定は帰ってきたウルトラマンから存在していたようですが、そこでも色々といざこざがあったようです。

 ともあれ、Aから歴代のウルトラマンたちが助けに来てくれるというシーンがたびたび差し込まれました。

 実はウルトラの父が登場したのはAが最初なんですよ。


 さてウルトラマンAに登場する怪獣は怪獣を超えた「超獣」と呼ばれるものたちです。これらはヤプール人という異次元からの侵略者によって作り出された生体兵器、サイボーグというものだったらしいのですが、途中でどうやらそのあたりはあいまいになっていったようです。

 というのもヤプール人が番組途中で倒されて以降も超獣は出現していたので。まぁこの部分に関しては色々と考察がなされていて、ヤプールの残党、もしくは技術を転用した第三者の侵略者がいたとか色々ですね。


 またエースキラーという対ウルトラマン用の戦闘ロボットが登場します。こいつは結構人気でして、商品化にも恵まれていたり。また超闘士シリーズではなんとウルトラマンAの相棒のような立ち位置いて仲間になったり。別の漫画、ULTRAMANでは設定を多く変更して名うての殺し屋として序盤の強大なボスとして登場していますね。

 どことなくヒロイックな、しかしてまがまがしいデザインというのが人気を博しているのでしょうか?


 さてさて、ウルトラマンAにおいて忘れられないヤプール人。このヤプールってなんだよという話ですが、こいつらはウルトラマンシリーズ屈指の邪悪な敵といっても過言ではないでしょう。異次元人というだけあって、番組本編に登場するヤプール人はぐねぐねと歪んだ描写がなされていて、若干モザイクがかった人型が映し出されていました。

 またウルトラマンAとの決戦においてはヤプール人たちが集合、合体、巨大化した形態もできてこちらはのちのシリーズでもよく見かけるヤプールの姿となります。

 性格も個体差はあるようですが、卑怯卑劣で悪知恵が働くというもう悪党役満って感じの連中です。

 しかもウルトラマンAだけではなく、のちのシリーズでもたびたび復活してはいやがらせ染みた、時にはウルトラマンたちを窮地に追い込むことも。


 しかも最終回においてはものすごくいやらしい手段でまんまとウルトラマンAを地球から追い出すことに成功したといってもいいでしょう。

 僕はあの最終回、実質ウルトラマンAの敗北ではないかと考えています。いえ、確かに地球は救われました。ですが、なんとももやもやとしたものを感じる最後なのです。

 これはぜひ皆さんも見て判断してほしいですね。

 そこにはウルトラマンAの残した名言もあるのですが……やはりどうしてもヤプール人との「勝負」には負けてしまっている感じが否めない。


 このウルトラマンAですが、まぁなんといいますか、テーマでもあるでしょうけど人物間の不和のようなものが多く描かれていて、主人公である北斗の意見を仲間たちが信じてくれなかったり、やたらと謹慎させられたり(実際はそうでもないんですけど)、防衛チームのTACが言うほど活躍してくれないというのも相まって人寄ってはストレスを感じるかもしれないですね。

 人を信じる心、助け合う心というものを描写するが故の展開でもあるんでしょうけどね……。

 ウルトラマンシリーズはたまに人間のいやーなところをこれでもかと演出します。それはセブン、帰ってきたでもそうなんですが、エースに至っては何と言いますか敵の存在もあってかすごい陰湿なんですよね。

 無敵のヒーローが爽快にぶったおすだけじゃなんですよ。むしろ力だけじゃなんともできない、という部分を描写しているんですね。

 実はこれ、昨今によくある正義の味方というものを安易に否定するより難しい展開なんじゃねーかなと思うんですよね。

 明確にヒーローの正義は正しく、敵は邪悪。そして卑怯な手段をもってヒーローを貶めるという展開なのに、どこか人間社会の心理をついているというか。


 はてさて、これは蛇足になりますが、ウルトラマンAですが、一転して技のバリエーションが凄いんですよね。彼は多彩な技を持ち、なぜかその多くが切断技なんですよね。

 そしてついたあだ名が切り裂き魔なんですが……僕、このあだ名好きじゃないんですよねぇ。実際、Aはこれでもかってぐらい超獣や宇宙人をすぱすぱと切り裂いてきました。とある宇宙人なんか真っ二つにされて臓物どばーです。

 なのでそういうあだ名がつくのはまぁ仕方ないかなぁとは思うんですが、あんまり言われすぎるのもなぁっといった感じです。

 あだ名、ネタというのは用法用量を守って正しくお使いくださいという奴ですよ。

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