第2話 ウルトラマン死す

 いきなりなタイトルですが、これは後で語ります。もう皆さん、なんのことだかわかるでしょうが、今しばらくお付き合いください。


 無事、ウルトラマンと出会った僕。途中、レンタル屋においてない巻などもありすべてをみたわけじゃないのですが、僕は順調にウルトラマンを消化していきました。

 ウルトラマンだけではなく、多くの怪獣たちのも出会ったわけです。ベムラー、バルタン、ゴモラ、レッドキング、ピグモン……そしてゼットン。

 今なお愛される名怪獣たちですね。バルタンは星人ですが、ここでは怪獣とまとめます。

 で、やっぱりバルタンは格別というか、強く印象に残りましたね。あのデザインもそうですが特徴的な「フォッフォッフォ」な声、ハサミの腕。真似しやすかったですね。それに分身するとかもう、ね。凄いですよ。


 逆に印象に残らない怪獣がレッドキングでした。というか今でも自分の中ではレッドキングは立ち位置が低いといいますか、この怪獣なにやってたっけ? みたいなところはあるんですよね。

 ファンの人には申し訳ないんですが、ほんと、自分の中でのレッドキング像がふわふわしてるんですよ。

 そんなにウルトラマンを苦しめたわけでもなく、何かこう凄いことをやっていた記憶もなく……うーん、これ以上は語らぬが吉かな?


 そしてピグモン。この子に関してはウルトラマンを代表するマスコットキャラの一体ですね。でも、当時の僕は風船つけて、なぜか潰される怪獣って印象が強いんです。後々に理解するとしてもですが、ピグモンが勇気をもって行動していたなんてことを僕はまーったく理解できなくて正直言いますと「うるさい」だったんですよね。

 今でこそ、ピグモンの活躍というか、立ち位置ってのは理解できてるんですが、このあたり、子供の残酷なところだなと。

 だからピグモンが死んでも特になんとも思わなかったんです。なんでイデ隊員は怒っているんだろう? そんな、子供だったんです。


 ですが……ジャミラ。これも有名ですね。ジャミラの回は考えさせられることが多いといわれますが、それはやはり大人になってからわかることです。

 ただジャミラの最後。あのシーンは子供ながらに「ひどい」と思ったんです。今まで、ウルトラマンはスペシウム光線を筆頭とした必殺技で怪獣を爆散させたり、すぱっと切り裂いたりしていましたが、ジャミラは違います。

 ジャミラは水が弱点。その理由はあえて書きませんが、ウルトラマンはジャミラに水流を浴びせて倒す。しかしジャミラは爆発もしないし、悲鳴を上げながらその場に倒れるという最後は……結構、重たかったですね。子供ながらに。

 このあたりから僕は明確に「キャラクターの死」というものを少しは気にするようになりました。

 ですがそう深くはないです。あぁかわいそうだなぁ……ぐらいの気持ちがあったというべきでしょうか。


 さてさて、語りたい話はまだ多くありますが今まで僕が上げてきた怪獣たちはみんな有名どころですね。そんなの語れて当然じゃんと思うかもしれませんが、逆を言えばそれだけ子供の記憶にも残る話だったということですね。

 一見すると何も感じてないように思えても実は心の片隅にこびりつくような印象があったのでしょう。

 ですがそれに気が付かないまま、僕はついにウルトラマンの最終回をみることになるのです。


 そう……ゼットンのことは外せませんよね。

 ウルトラマン最後の敵にして、ウルトラマンを殺した怪獣。あの無敵のウルトラマンが勝てない、負ける。

 それを見た僕は……なぜかすんなりと受け入れていました。なぜか。理由がわからないんです、それが。

 この当時の僕は年齢にしてはませていたとかそういうのではなかった思うんですが、なぜかウルトラマンが負けたという事実を特になんとも思わず受け入れていたんですね。

 いや、もしかしたら茫然としていたのかもしれない。

 今となってはわかりません。ただ、僕が初めて認識したヒーロー・ウルトラマン死んだのです。

 その記憶は、今なお残っています。

 「あぁ、ウルトラマン、死んじゃったんだ」と納得していたんです。

 でも、理解をすると今度はそういえばあの怪獣たちは? みたいなこともちょっとは考えるんです。

 ここでもまだ僕は怪獣が倒されることそのものについてかわいそうとはあんまり思いませんでした。本当、ジャミラが例外だったのです。

 ですが、ウルトラマンの死を目の当たりにして、何かこう、もやもやとしたものを抱えた僕は初めて「ピグモンって、すごい奴だったんだな」となぜか思ったんですね。

 なんでそこに直結するんだろうと思いますが、本当、なんででしょうね?

 僕が最初に出会い、そして最後までみたヒーローの最後は子供の目では歯切れの悪いものだったのです。


 こうして僕とウルトラマンの出会いはひとまずの区切りがついたわけです。

 そして、僕は次なるウルトラマンに出会います。

 そう、それは……!

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