第3話 ウルトラマンで広がった世界

 ところで皆さん、外国って存在を意識したのいつ頃ですか?

 僕はウルトラマンで知りました(唐突)

 いやほら、科学特捜隊の本部はパリにあるじゃないですか。パリってどこ? って聞いたんですよ、母に。

 そこからなるほど、パリはフランスにあるのかと知りました。はい。

 んじゃ、アメリカはどうなんだというと、これもウルトラマンでした。

 そう、僕は初代ウルトラマンをレンタルする傍ら……なぜかウルトラマンパワードをレンタルしてたんですよね(笑)


 いや、だって、子供だったし……とにかく新しいのが見たい! って思うわけですよ。そして手を出したのがパワードです。

 そしたらびっくりですよね。なんだこいつら! なんだ子のウルトラマン! ってな具合ですよ。

 あ、ちなみにこの時期を前後してパワーレンジャーにも手を出しました。


 さて、ウルトラマンパワードはアメリカで制作され、主人公はなんとケイン・コスギというなかなかのキャストでした。

 青い目をしたウルトラマン。スペシウム光線を撃つまでの溜めとか子供ながらにかっこいいと思いましたね。

 あと、パワードでネタにされる殴らない、押すだけ、遅いみたいな戦闘シーンですが全然気にならなかったですね。

 なんせ、当時子供だったので……とにかくウルトラマンが出てりゃいいじゃんでしたから。

 そしてパワード版ダダを見て怖くて泣きました。母に抱き着いた記憶が今も残っています。

 いやあれは怖い。


 さて、ウルトラマンパワードはアメリカ版ウルトラマン。ストーリーや怪獣も初代ウルトラマンにある程度沿っていて、僕は結構すんなり受け入れていました。

 ここでもやはりバルタンの印象は強かったですね。ウルトラマンパワードにおけるバルタンは最初の敵であり、そして最後の敵でもありました。

 しかもゼットンも現れてしまってさぁ大変。しかもウルトラマンは主人公と分離するし、なんかゼットン倒したと思ったら死んじゃったし!

 

 なんというか、ウルトラマンのアメリカ版リメイクのようなこの作品。その結末も同じで、ウルトラマンが死んでしまうわけですよね。

 なんで僕は二回のウルトラマンが死ぬ展開を連続で見たんだろうと色々思いますよ。

 そんなこんなでアメリカという存在を知った僕。


 そしたら次はオーストラリアを知りました。

 はい、ウルトラマングレートです。おいおい、お前どんだけ手を出すんだよって話ですが、当時の僕は初代からパワードに飛び、そしてグレートへとたどり着きワールドワイドしてました。

 さて、グレートに関しては実はあまり記憶に残ってないんですよね。

 理由としてはなんかゴーデスが怖かった。マジで怖かった。ついでに気持ち悪かった。

 それと、なぜか、レンタル屋にグレートが全巻置いてなかったんですよね。そんなことで僕がグレートを全部見たのはたぶん……中学生になってからだったと思います。ずいぶんとかかったな……。


 ですがウルトラマングレートは記憶に薄い割には結構触れる機会も多かったんですよね。というのもグレートはゲームに登場することがあったんです。ザ・グレイトバトルとかですね。僕はこのゲームを持っていたわけじゃなく、小学校にあがったあたりで友達の家で一緒にプレイしていた記憶があります。

 ちなみにグレートじゃなくてパワードだったこともありますね。詳しく何作目かまでは覚えてないんですけど。


***


 そういうわけで初代からいきなりパワード、グレートにとんだ僕。

 レンタル屋においてないのもあってぬけぬけながらも視聴し終わった僕が次に出会ったのは……帰ってきたウルトラマンです。

 おい、待て。ウルトラセブンはどうしたと突っ込みたい方もいるでしょうが、聞いてください。その時のレンタル屋にウルトラセブンは置いてなかったんです。なので、僕がセブンをまともに見たのはこれも中学以降なんです。それ以外だとウルトラマンレオとかぐらいで……。


 ただ帰ってきたウルトラマンを見るころには僕は他のウルトラマンの存在も認識していました。というのも雑誌などを買うようになったからですね。児童誌や絵本、なんとか大百科とかです。

 なるほど、まだ知らないウルトラマンがこんなにいるんだなと子供心に感動したことを覚えています。

 だからこそ全部見たいという思いもあったのですが、それが叶ったのはだいぶ後になってからでした。


 さて帰ってきたウルトラマンに話を戻すと、この時点で僕は帰ってきたウルトラマンと初代ウルトラマンが別人であることをなんとなく理解してました。模様が違う! と思っていたのもありますが何より、変身する人が違ったというのが自分の中では大きな理由でしたね。

 こういうことを考える、理解するようになったのも言ってしまえば世界が広がったからなんでしょうか(タイトル回収)。


 いえ、真面目な話、初代ウルトラマンと出会い、ヒーローという存在を認識して、そこからもっと色んなものはないかという欲望が出てきたことで、僕が外に向ける視野というのはかなり広くなったと思います。

 今でも思うのですが、幼い頃の僕はあんまり何かに執着するということがなかったようでした。姉のお古の人形を持っているだけだったり、ミニカーなどを買ってもらっても、それで遊ぶかというとそうでもなかったようで、とりあえずあるけどそれだけ……みたいな。


 保育園で絵本を読み聞かせてもらったり、友達と遊んだりもしますが、それ以外はどうでもいいやと思っていた節があります。

 いっちゃなんですが、アンパンマンすら興味なかったんじゃないだろうか。NHKの教育番組もやってるから見ているだけで、そんなに集中していた記憶もないです。

 むしろウルトラマンと出会ってからの方がそういったものにも興味を示すようになったといえます。

 だからこそ、今の僕を作るきっかけは間違いなくウルトラマンなんですよね。

 原典ゆえに、若干僕はウルトラマンを神聖視しているところもあります。

 だって彼らは僕に外の世界を見せてくれたからね。


 正義や友情、悪というもの、死という悲しい現実、空想でワクワクする心。

 ヒーロー番組というのはそういうものを子供に教えてくれるものです。その中で、僕の一番の教科書であり、視点を増やしてくれたのはウルトラマンだった。

 まるで大きなウルトラマンに連れてもらいながら、世界を飛び回るかのように、僕は僕以外の世界へと目を向けることを覚えたんです。

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