書き手となった動機
東郷 学
僕が小説を書く理由
僕がオタクに落ち……もとい転生した原因は当時、アニメ化されてそれが帯付きで大々的に広告されていた今尚人気のライトノベル『ソードアート・オンライン』という作品に触れたことが全ての始まりだった。
当時の僕は無垢で普通な小学生(だった気がする)。
読み物は昔から好きで日本昔話やら童話、後は学校の図書館にあった漫画の『かいけつゾロリ』や絵本の『11匹の猫(タイトルうろ覚え)』などを手に取り、内容が変わるわけでもないのに飽きもせず繰り返し読んでいた。
そんな時期にふと本屋で発見した『ソードアート・オンライン』。
僕は流麗な表紙イラストと何かゲームっぽいタイトルに釣られてまんまと購入した……恐らく、これが無ければ僕はオタクなんて言う沼に落ちてなかった筈なんだ。中二病という病にも発症せず、作品追いによる金銭不足に陥ることもなかったはずなんだ……! という後悔は置いといて。
そんなこんなで手に入れた『ソードアート・オンライン』、さてさて中身はと確認すればあら不思議、数ページのカラーイラストと続く文字、文字、文字。
目が痛くなりそうな文字。
「あれ? これ漫画じゃ無いの?」
今、思い出すと割とアホな小学生は、小説は元よりライトノベルというジャンルそのものを知らなかったのだ……。
最初はガックリしつつも買ったものは仕方が無いので取りあえず冒頭ぐらいは読破しよう、そんな気持ちで僕は読み進める。
──気づけば、読み終わっていた。そして衝撃と感動を覚える。
文字だけで表現される物語は、こんなにも面白いものだったのかと。
そうして沼を知った憐れな小学生は、気づけば
……などと前置きなんかさっさと終わって。
みなさん恐らく初めまして、東郷学と申します。
普段は二次創作を主な舞台として、別のサイトで活動しております。
僕が小説……僕にとってはSSの方が馴染みやすい……を書き始めた理由は単純で『二次創作』という存在を知ったからです。
自分で言うのもアレなのですが、僕には創作に必要な能力の一つ……0から1を生むというものがどうにも欠けているようでして、ライトノベルに限らず創作行為自体は大好きなのですが、1から10まで自分一人で書き上げることが出来ませんでした、途中でエタるか(今もそう)、単純に自分の思い描いた作品じゃ無くなるか、結果はどうあれ、全て頓挫していました。
そのため自らの手による創作活動は半ば諦めていたのですが、そんな時、僕はSSという言葉と原作がある作品のIFをファンが考えた作品群『二次創作』という存在を偶々知ることとなったのです。
原作という作品から派生したIFを書く。
予め素材も下地もある中、自分の物語を書く『二次創作』との出会いは僕にとってかなりの転機でした。何せ、半ば諦めていた創作活動に火を加えたのですから!
1から書く必要は無く、素材は既に十分にある。
創作者として憧れは有れ、僕はそもそも書くことが好きで作家の夢やら商業意識があるわけではない。
そのため、『二次創作』は僕にとってあらゆる意味での『需要』を持っていました。
早速僕は衝動と思いつきのまま一作品作成して投稿。
原作は二次創作に着手した当時話題のFate(その時はよく知らない)に思い入れのある『ソードアート・オンライン』を混ぜた感じの奴。
ではいざ投稿と僕はほぼ衝動の流れ作業で某巨大二次創作小説投稿サイトにて添削も確認も無いまま投稿した。
因みにこれが初投稿であり、誰かに対して初公開した作品である。
その結果……めっちゃ酷評されました( ´・ω・`)
いや、それはもう凄惨たるものでした。
やれ「原作と設定が違う、勉強し直せ」
やれ「Fateのステータス表記にSはねえよカス」
やれ「クロスオーバータグ付けろやボケ」
やれ「ステータス高すぎwww」
やれ「英霊舐めるな」
ボッコボコですね、ありがとうございます。
当時は確か中三だか、高校一年生ぐらいだったか。
おま、いたいけな少年の初心者に対してオーバーキルすぎるだろ……。
というぐらいボコられました。
さしもの僕も三ヶ月ぐらい創作がトラウマになりました。
今でこそ、二次創作を作る上で原作との間の設定ミスやらオリジナル要素を付け加える上での矛盾やら、そういったヘマは行わなくなりましたし、当時僕の作品を酷評した彼らが何をそんなにピキピキきていたのか理解できるので、「坊やだったのさ……」と、黒歴史として懐かしみを覚えますが、当時は割とキてました。
さて、そこで僕は小説を書くのをいったん諦めます。
やっぱり向いていない、上手くいかない、てか感想文怖すぎ……。
そうして三ヶ月ぐらいは創作活動を完全に止め、初投稿を行った某投稿サイトで気に入った作品を読んだり、面白い二次創作を探したりと、いわゆる読み専として作品を読みあさっていました。
しかしそうしていると、やはり自分も自分が思い描く面白い話を書きたくなってくるもので気づけば再び投稿用の作品に着手していました。
そうして書いて、修正し、書いて、勉強し、書いて書いて……。
気づけばまあ、人様にお見せできる程度には腕が向上しておりました。
五千文字程度ならばちょちょいと書けるし、そこそこの人気も得られました。
長くなりましたが、僕の小説を書く理由。
言ってしまえば、やはりどんなに酷評されても書くのが好きだからです。
自分の思い描いた世界を描く。
1から書けない僕にとってその舞台は二次創作。いうなれば他人の庭であり、人によっては嫌う人も居る、言わば借り物の舞台。
ですが、僕の創作意欲と技術はその借り物舞台で全て培ってきたモノです。
時たま書く自分オリジナルの作品も、書けるようになったのは、物語を書き続けたことと、酷評の中にあった正しい指摘を飲み干して上達した結果です。
だからこそ創作を着手した要因となった二次創作との出会いとそこを舞台に得たノウハウは今も自分にとって特別なものとしてあります。
以上が、僕の小説を書く理由と二次創作の出会いのお話でしたっと。
………
………………。
「でも、やっぱり創作者として酷評は結構響くよね。
よく『批判やめて』的な方を見かけるけど、気持ちよく分かるわー。
実体験として。
だけど思うに、そこで『それでも』と言うか『もう止める』と言うかで
創作者として生きるか死ぬかの明暗が分かれるのでは無いだろうか。
人の目に当たる以上、人に評価されるのは避けられないのだから──」
なんて最後に偉そうなことをほざいてみる。
ま、何にせよ、僕のように誰かに自分の作品を酷評された人も、物書きが好きな同志としてこれからもお互い頑張りましょうやということで。
書き手となった動機 東郷 学 @itizisousaku87
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