まえがきを読むかぎり、本エッセイのテーマは「ほっこり」とのことです。
あとがきでも「ほっこり」が強調されております。
タイトルのとおり、ほっこりふかしたサツマイモのような幸せな瞬間を切り取った、とのこと。
しかし読了した自分としては、少しだけ見解が異なります。
こちらのサツマイモ、たしかにほっこりしてるとは思います。
しかしそれだけでなく、シナモンとかナツメグとかのスパイスがしばしばピリリと香っている気がします。
それは例えばマッチングアプリのエピソードで、現れた相手に向けられる冷めたツッコミであったり。
犬のエピソードで、わんちゃんの様子が目に浮かぶような観察眼であったり。
豆盆栽のエピソードで、垣間見える独特の言語センスであったり。
それらが、ユーモアの利いた表現で差し挟まれています。
ほっこりしつつもユーモアの効いた、ショートエッセイ集だと思います。