寝ぼけて

 夜更け。ある侍が寝ていると、子供が自分を呼ぶ声がする。

 何事だと思いながら侍は起き上がり、子供部屋の様子を見に行った。

 おびえている子供に事情を尋ねると、だれかがこの部屋に入って来たというので、侍が灯りをつけて室内を見渡したところ、飼い猫が一匹いるだけであった。

 寝ぼけていたのだろうと子供に言っても、確かにいましたと強情を張る。

 侍はまだ言うかと子供を叱り、自室へ戻った。


 それからしばらくした、ある昼時。

 昼寝をしていた侍がふと庭をみると、飼い猫が子供の服を持って来て、その場で着始め、美女に変じて外へ出て行った。

 さては猫又と呼ばれるものであろうと思い、猫の姿で戻って来たところを袋へ詰めて、そのまま川へ捨ててしまった。



参照:高田衛編・校注「江戸怪談集上」の宿直草『年経し猫は化くる事』

内容が薄いので登場人物などを簡素化して、手短にした。

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