つぶて

 ある家へ夜ごとにパラパラと小石が降った。

 家の主は気にしなかったが、近隣や知人は縁起が悪いと忠告した。

「このような家は必ず焼失するという話です。しかるべき祈祷きとうをしてもらいましょう」

 しかし主は聞き入れなかった。

 結局、火事は起きず、やがて主は亡くなり子が家を継いだ。

 その家はまだある。


参照:高田衛編・校注「江戸怪談集上」の宿直草『天狗つぶて』

原文から抹香臭さを除いた。こちらのほうが物語の趣旨は明確になると思う。

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