第九十六話 管狐
その寺の住職はとても霊格の高い人物と有名だった。
失せ物探しはピタリと当て、お祓いや困りごとも祈願で見事に解決する。他人が知らぬことでもお見通し、といった具合いだった。
そんな徳の高い住職……念仏を唱える間、御供物を手に取り袖にしまうという奇妙な行動を度々行う。
しかし、それは住職が卑しい故の行動ではない。
檀家の一人は語る。あれは袖の中に
飯綱山の神から伝授された管狐──別名・飯綱の霊法は、竹筒に入る程小さな狐を操るという呪法。
どちらかと言えば修験道に近いものと言うが、何故仏法の僧たる住職がそれを使えるのかは謎だ……。
余談だが、イタチ科のオコジョの別名は管狐。しかし、呪法のそれとは別物と言われている。
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