第七十二話 ダム


 とある心霊スポットのダム。そこでは様々な目撃報告が上がっている。


 人魂、女の幽霊、首なしライダー……統一性は無いらしい。



 そんな夜のダムに、オカルト雑誌記者が取材に向かった。


 辿り着いたダムには肝試し中の若者がたむろしていて、記者は幸いにも話を聞くことが出来た。


 噂話を詳しく話してくれた若者達……寧ろ若者達の方がそういう話は詳しいらしく、かなりリアルな話を聞くことが出来たのは記者にとって幸運だった。


 話を纏めると、どうやらこの場所では車が転落し死亡者が出たという事故から幽霊の話になったらしい。



 情報も集まり帰ろうとした記者。そこでふと、若者達の交通手段が無いことに気付く。


「君達は……友達が迎えに来るの?」

「いや……俺ら足がなくて、ずっと帰れないんですよ」

「え……?」

「ホラ……車、ダムに落ちちゃったんで出られなくて……」


 悪い冗談……記者がそう思った直後、若者達は柵を乗り越えダムに飛び込んだ。


 慌てた記者がダムの側に駆け寄ると、遥か下方に大量の人魂が浮いていた。


 記者は一目散に逃げ帰った……。



 後日……新聞記事を漁り死亡記事を確認すると、そこにはダムで会った若者達の写真が……。


 記者は後にその話を特集記事とし、ダムに献花をしに向かったそうだ……。


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