第十八話 床下
とあるアパートには幽霊が出るという噂があった。
アパートは墓地の跡地に建てられた為、苦しみ助けを求める幽霊が出るのだと。住民の殆どはそんな話を信じなかったが、そのアパートには不思議なことが一つだけ有った。アパートの一階部分には入居者がいないのである。
ある日、不動産屋の手違いで新たな入居者が予定より早く到着する事態が発生する。
二階の部屋が空くのは一週程も先。そこで不動産屋の頼みで一階の空室に入居者が入ることとなった。
別段変わった様子は無いまま数日を暮らした入居者。だが実は、少しばかり不満があった。夜中になると床下でカリカリと音がして安眠が出来なかったのである。
ネズミだろうと気にしないまま更に数日が過ぎたある日、アパートで火事が発生。全焼したが、幸い全員外出中で犠牲者は無かった。
だが……ここで騒ぎが起こる。アパートの焼け跡を片付けていた業者が人骨を発見したのである。
その後の警察の調べでは、遺骨は床下に埋まっていたのだろうという結論に至った。
そこで改めて問題が一つ。遺体は何時からあったのか……。
警察の調査の結果、遺骨は比較的新しい遺体で数年前に行方不明になった入居者達のものと判明。その後、管理人夫妻は警察に逮捕された。
行方不明だった入居者の口座からは家賃の引き落としが続いていたという。
管理人は黙秘を続けている為、事件の詳細は判らない。だが、最後に一階に入居していた者は怖気が走った。遺体が見付かったのは丁度、一階で寝ていた真下だったのだ。
床下を掻いていたのはネズミでは無かったのかもしれない……最後の入居者の頭からは、そんな考えが何時までも消えなかった……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます