第十六話 トンネル



 中越地方の県境にある山間のトンネル。カーブに差し掛かる形状が多く存在するトンネルは、往復どちらも出口が湾曲し崖になっている。


 そんな山道を夜間一人で運転していると、出口付近でライトに照らされ人影が見えるのだと噂されていた。



 ライトが照らした人影は、トンネル出口のガードレールを飛び越え崖へ身を投げる。それを見た者は、その後山を越えるまで幾度となくトンネルの先に同じ人影を見るのだ。


 後に調べたところ、付近に自殺や事故死の記録はないとのこと。



 そんな中……人影を特にハッキリと見たという人物から話を聞くことが出来た。


 あれは人ではなく、頭蓋骨を被った大猿だった、と……。



 その地方には、悪さをして退治された狒々の伝承が残されている……。


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