雨月さんの作品は短く綺麗にまとめられている。そしてその短い文章の中に時々ゾッとするような物が詰まっている。読みやすいのでファンになって読みあさってます。
主人公は彼女が笑っている瞬間を見てしまう地味な印象の彼女が葬儀で笑っていた。そのことが気にかかり、主人公はイヤな想像を巡らせる。地味で無害な彼女が少しずつ変わってしまう。しかし待て。主人公は確証のない推察で勝手に彼女を怖がっているだけだ。妄想だろうと指摘されてはそれまでだ。分かっているけれど読み手は主人公と一緒にドキドキハラハラしてしまう。詳しく知らないから想像がはたらいてしまう。いったい彼女の本性は何なんだろう?
※最終話について若干のネタバレがございます 最後のシーン、眼鏡をかけ直すだけの描写に対し、ぞっとするような寒気がしてとてもよかったです。全体的に淡々と話が進むのに、登場人物のちょっとした行動で話の温度がぐっと変わり、読み飽きませんでした。