巨大生命体の住処

チタン

第1話

 遥か数百万光年を越えて、我々『調査隊』は遂に知的生命体が文明を築いている惑星を発見した。

 異星人に発見されぬよう、船をステルス・モードに移行。宇宙空間から地上の観測を続けた。

 宇宙からの観測によって、異星人は我々と似た二足歩行生物であるということが分かった。

 

 地上には危険は少ないと確認された。大気中の成分や重力は防護スーツさえあれば許容範囲だ。

 そこで異星人達の都市に、1度目の偵察隊が派遣された。偵察は異星人達が寝静まる夜間に行われた。


 そしてこの偵察隊が驚愕すべき発見を持ち帰ってきた。

  その発見とは、かの星には"巨大生命体"の巣穴と思しき、大きな地下空間が広がっているということだ。

 しかし偵察隊はその"巨大生命体"の姿を確認することはできなかった。

 我々は調査する上でこの"巨大生命体"を"X《エックス》"と名付けた。


 調査で分かったことは2つ。

 1つ目は"X"が棲む地下空間を作ったのは、どうやら二足歩行型の知的生命体らしいということ。これは地下空間の内部に、30mを越える生物に作れないほど微細な装飾などが見られる点からそう推測された。

 2つ目は"X"の巣穴は、二足歩行型生命体が密集して生息するエリアにばかり存在するということ。これは偵察の後の調査で分かった。

 この2点から我々はこう推論した。即ち『この惑星の支配者は"巨大生命体X"なのではないか』と。


 なぜなら、まず"X"が自分の住処を二足歩行生命体に作らせていることは、両者の支配・被支配関係を明示しているといえる。地下に二足歩行生命体は住んでおらず(これは偵察で確認済みだ)、住居以外の用途も考え辛い。彼らがあの地下空間を自分達のために作ったのではないことは明らかだ。

 そして"X"が知的生命体の密集地に棲むのは支配する上で都合が良い。推定30~50mの体長であるだろう"X"は個体数が比較的少ないのだろう。だからそれぞれが二足歩行生命体の密集地で直接支配を行なっているのだ。


 充分な調査の上、遂に2度目の偵察が送られることとなった。

 "X"との遭遇もあり得る危険な任務だ。

 派遣の折、彼らの安全が心配された。

 しかし彼らは勇敢にも任務をやり遂げ、無事調査結果を持ち帰った。


 偵察隊は今回"X"が巣と巣の間を行き来するための通行路を発見した。

 その通行路の形状から、"X"の体は細長いフォルムで手足は無いか極端に短いと推測された。


 そして何より今回偵察隊は、重大な手掛かりとなるであろう画像データを持ち帰ってきた! これは"X"の謎解明に大いに役立つだろう。

 というのも、その画像データというのが"X"の巣にあった"意味ありげな記号の羅列"を記した看板の画像だからだ。記号の羅列は"10種類の記号"で構成されている。まだ彼らの言語を解明できていない我々でも、10種類の記号列なら意味を解読できる可能性も高い。


 その記号列の上部には"10種類の記号"とは異なる記号列が記されている。

 その記号列というのはこんな風だ。


『時刻表』


 我々にこの記号を読むことは出来ないが、きっと"X"について知る重要な手掛かりになるだろう。

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巨大生命体の住処 チタン @buntaito

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