チタン

'私たちにもあんな頃があったね' すれ違う初々しいカップルを見て、君が言った。 確かにぼく達は、もうあの頃みたいなときめきはなくなっちゃったね。

真っ暗な星の海を宇宙クジラが泳いでいく。 悠然と、荘厳に、粛々と。 何者にも意を介さず、ただ自由に。 これは宇宙を泳ぐクジラの話。

僕と君は恋人同士、けど住んでいる星が違う。 だから僕らが会えるのは年に一回。 今年も君に会いにいくよ、遠くの星まで。

今日は「あなた」の結婚式だった。 幼い頃からあなたの隣にいたのはわたしのはずだったのに、今日あなたのとなりにいたのはわたしとは別の人……。

半年前、ぼくは君にフラれた。 君はずっと嘘が嫌いだと言っていた。 けれど、ぼくはあのとき君に嘘をついた……。 だから、ぼくは君に謝りに行こうと思うんだ。 　　♢♢ 半…

宇宙を越えてはや数百万光年。 調査隊はついに知的生命体が住む星を見つけ、1人の隊員が斥候として異星の調査に降り立った。 そこで彼は知的生命体のものではない"巨大生物の巣"を発見し…

場末のバーに男が逃げ込んできた。 男はマスターに言う。 「トウモコロシに追われている、匿ってくれ」 そして、その男を追ってトウモコロシもバーにやって来て……。

午前4時、ついに僕らは終わった。 僕は車を走らせながら、君との思い出を振り返る。

立体的な映像を投影する次世代型TVが世間では大ブーム。 6歳のジョン君も大のテレビっ子だ。 今日は両親が家にいないからテレビ見放題！ そしてジョン君はテレビのスイッチを入れて…

むかしは映画や小説みたいに燃えるような恋がしてみたかった あまりそう思わなくなったのはいつからだろう？

「ぼく」の村には途中で途切れた「橋」がある。 「橋」は別の世界へ繋がっている。 姉さんが「橋」を渡ってから4年、「ぼく」はある決断をする。

風が頬を撫でていく。 風に乗って薫ったにおいであなたのことを思い出す……。

203x年、日本政府が『容姿税』を施行して数年、AIにブサイクと認定されたヤツは「免税者」なんてバカにされるいやーな時代になっていた。 水野ショウは生まれながらの美男子で、最高…

－－あの夏、彼女は記憶を失くした。 僕たち二人は恋人だった。 けど、彼女は事故でほとんどの記憶を失って以来、何も思い出してはくれなかった。 僕は彼女とした約束を果たすため、彼…

女は新興宗教の熱心な信者だ。 彼女は敬愛する教祖をひと目見るために過去へ行き、その宗教が生まれた聖地を「巡礼」しようと計画する。 そこで彼女は見すぼらしい格好をした浮浪者に出…

「夢を追ってるんだ」って言いながら大した努力もしていなかった。 そんな口先ばかりだったから、君に見捨てられたって文句言えないよな。 僕が夢を叶えたら、君はいつかまた僕の隣に戻って…

あなたには好きな人がいるみたい。 私はあなたを愛しているのに。 あなたの目に私の姿は映らない。

君は僕に不満なんてない、そう思ってた。 だって僕といるとき、君はずっと笑ってたから。 けど僕は今日、君から別れを告げられた。

私は魔法が使える。時を超える魔法。 そうして私は毎晩あなたに会いに行く。 まぶしい時間、今ではもう戻れないあの頃に……。

「わたし」は昨日、恋人にフラれた。 その理由を聞くためにわたしは車へ乗るが、彼の家までの短い時間でわたしの心は揺れ動く。

今より少し未来、人工知能の権威である仏教徒の科学者は人為的に「悟り」を開かせようと試みる。

発達した社会で、虚ろな生活を送る男。刹那的快楽を求めて脱法ドラッグを探す男は、偶然奇妙なドラッグを見つける。

その村のはずれには「奇跡の木」と呼ばれる神木があった。過去の大火災で唯一無事だったその木を村人達は畏敬を込めてそう呼んだ。ある日、ある村の少年が大人達の鼻を明かすため「奇跡の木」…

今より少し未来、「僕」は恋愛に奥手な男子大学生。ある日、友人に勧められたマッチングアプリで知り合った女性「リナ」に恋に落ちてしまう。気持ちを抑えきれない「僕」は「リナ」に告白する…

「わたし」が目覚めるとそこは暗闇だった。 体は動かない、そしてとにかく暑かった。 「わたし」は密室で一人考えを巡らせていく……。