勇者が嫌いだから、村人のオレが魔王を倒して勇者を引きこもりニートにするよ。

@torucoic41man

旅立ちの決意

昔から疑問に思うことがある。

魔王と魔王が率いる魔物、そして人類の希望とされる勇者は1000年近く戦ってるらしい。


1000年という長い期間.... いつまで戦い続けるのだろう。

そもそも魔王の寿命ってどのくらいなのか?

1000年間ずっと同じ魔王なのだろうか?


まぁ.... そんなんことを村人のオレが考えても意味がない。

オレは今日も畑で大根を収穫する。

もう、10年以上、畑仕事をしている。

畑仕事は体力をとても使い、お陰で筋肉質な体になった。

しかしながら畑仕事はキツい、毎度仕事が終わればぶっ倒れている。

遠くにある、『ジャパーン』という国では『全自動畑作業マシン』というハイテクなマシンがあるらしい。

そんなマシンがあれば、どれだけ有意義な時間を過ごせるのだろうか....


「今日も仕事終わり〜 さっさと帰って飯食って寝よう」


「お疲れ。イサム」


「親父もな。」

 家は根っからの農家。オレに農業を教えたのも親父だ。


「なぁ親父、前に話したことだけど....」


「ん?」


「『全自動畑作業マシン』のことだよ。ほら『ジャパーン』の。」


「あぁ、その話か.... そんなもの必要ないし、そもそも本当にそんなマシンあるのか?」


「でも、本当にあるのなら便利だ。ここら辺でそんなもの使ってる農家はいない。つまりだよ、生産力で俺たちはここら一帯の農業を牛耳ることができる!」


「あのな、家は村人風情だよ。その『全自動なんちゃら』を買うお金がどこにある。」


「ぐぐぐ....」

 何も言い返せなかった。家は所詮、大根が取り柄だけの農家だ。家の大根が大富豪のお気に召すみたいな超スーパーウルトラライトニングな展開がない限り無理な話だ。


「そういうことだよ、イサム。 それにお前の作った大根は定評がある。味はさることながら、大根のフォルムが超エロいと評判だ。男心の欲望を鷲掴みさ!これからもシコシコと大根づくり頑張れよ」


「いや.... 褒めてんのそれ?」


「当然さ.... オレも夜な夜な欲情してんだよ! なにせ母ちゃんはシワシワのババァだからさ溜まってんのよ。」

 親父は無邪気な笑顔でこちらを見つめてきた。


「あんたたち、さっきから何話してるの?」

 母さん....! ヤバイ 逃げよう


「ボコ! ドカ! ボコ!」

 母さんは鬼のような顔で親父をボコボコにしていた。

 相変わらず怒った母さんは恐ろしい。


「じゃ、今日は寝るわ おやすみ。」


「あっ.... 待て『イサム』! お前もボコられ.... ギャァァァ!」


 明日、知り合いの商人のところへ行ってみよう。


 ----------------------


 翌日、いつも通り、大根収穫を終えたオレは『商人』の『ピエトロ』のもとへ向かった。


「チース。」


「おぉ! イサムか。久しぶりだな!」


「久しぶりっす。」


「どうした? 耕作具でも買いにきたか?」


「いや.... 違うんだ。話が聞きたくて。」


「はなし....?」


「『ジャパーン』という国の『全自動畑作業マシン』というマシン知ってますか?」


「あぁ知ってるよ。」


「え!」


「『全自動畑作業マシン』だろ?」


「そうです。」


「それが、どうしたんだ?」


「欲しいんだ。それが! ピエトロさんの所で扱ってないのか?」


「残念ながら、うちでは扱ってないよ。」


「じゃぁ、どこで扱ってるかはわかるか?」


「分からないな.... てゆうかどこも扱ってないと思うぞ。」


「なんで、わかるんだよ。」


「実はな『ジャパーン』との貿易は禁止されてるんだ。」


「え! なんで?」


「う〜ん、言っていいのかな? これ。」


「ん?」


「誰にも言うなよ。これは『勇者』が取り決めたルールなんだよ。」


「勇者が?」


「あぁ.... 『ジャパーン』という国は『カガーク』というとんでもない力を使って

るらしい。その『カガーク』で物を動かしたり、炎を出したり、モンスター倒したり出来るらしいんだ。」


「魔法じゃないのか?」


「違う。魔法は『魔法使い』にしか使えないが、『カガーク』は誰でも使えるように設計されているらしい。」


「誰でも! すごい!」


「そう。 お前さんが言ってた『全自動畑作業マシン』も『カガーク』で作られているらしい。」


「へ〜」


「問題はその『カガーク』だ。『カガーク』の力でモンスターを次々と倒していった『ジャパーン』の存在に魔王は恐れた.... だがそれ以上に恐れた存在がいる。」


「........」


「『勇者』だ。」


「勇者?」


「そう。勇者は魔王がいるから存在価値がある。魔王がいない世界の勇者なんて

ただの『引きこもりニート』だ!」


「いや.... そこまで言わなくても。」


「だって、そうだろ。勝手に人の家を漁ったり、壺を割ったり、ただの迷惑野郎だ。」


「そうかもしれない....」


「けど、魔王という存在があるからこそ、奴らは特権階級なのだ。魔王がいるから

迷惑行為も許される。『勇者さんは普段から魔王と戦っているかしょうがないね。』みたいな感じで許される。 あと女にもモテる。」


「確かに。」


「だいたい、勇者ってだけで、ホイホイついてく軽い女もどうかと思うね。勇者という肩書だけで美女を抱けるんだぜ.... アイツらはたまたま神からのお告げがあっただけで、努力もしないクズだよ。 ぜったい。」


「うんうん。 その通りだ。」


「それに! アイツらが美女ばっかり奪ってくから、俺たちに回ってくる女は良くて『キクーチ・アミアミ』クラスの女ばかりだ。本当は『サワシーリ・リカエ』クラスとイチャイチャしたいんだ!」


「そうだ そうだ!!! オレだって『トヨタ・ツバサ』とデートがしたい!!!!」


「おぉ! よく言った。今日はサービスだ! 欲しいものがあれば半額で売ってやる!!!」


「マジか!!!! じゃぁこのエロい人形くれ!!!!」


「おう! 100Gだ! 持ってっけ!!」


「よっしゃ!!いい買い物した! じゃぁな、ピエトロ!。」


「また来いや!!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「っっっって!!!! ちがぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!!」


「なんだよ」


「なんだよじゃねぇよ、『全自動畑作業マシン』だよ!!!」


「あぁそうだったな」


------------------------------------------


「ことのつまり、『カガーク』が世界中に広まれば、世界中の人間がモンスターを容易く撃退できるようになる。そうなれば、『あれ、勇者必要なくね?』ってなるから『ジャパーン』との貿易は禁止されているのだ。」


「なるほど.... でもよ勇者に貿易禁止みたいな、国レベルの規制を制定できる権力があるのか?」


「お前、知らないのか? 『全世界勇者連合』のことを?」


「何それ..... 勇者って連合組んでるの?」


「あぁ、そうだ。 組織の構成人数は500人以上いるみたいぞ。」


「500人!! 勇者ってそんなにいるの!?」


「らしいな.... オレも良くわかんないけど、『最近では異世界から転生された』みたいな感じの理由が流行らしい。」


「異世界.... なんだそりゃ。」


「まぁとにかく、『全世界勇者連合』は物凄い力を持っている。世界中のプリンセスの結婚相手として勇者を送り込んで、権力を握ってるらしい。その権力を使って『ジャパーン』との貿易を禁止したのだ」


「マジか、勇者が嫌いになりそうだ。」


「そういうわけだ、諦めな『全自動畑作業マシーン』は」


「なぁ、どうにかならないものか?」


「そんなに欲しいのか?」


「あぁ、もう疲れるのは嫌だ。楽して大根を収穫したい。」


「そこまでいうなら、一つだけ策を教えてやるよ。」


「あるのか?」


「『ジャパーン』に直接行くのさ、個人の売買は禁止されていないのだ。」


「なるほど。」


「ただ、お前の場合、渡航費は持ってないだろ。船の。」


「あぁ、持ってない。」


「てことは陸路で行くしかない。 だが陸路はモンスターだらけで非常に危ない。 それでも行くか?」


モンスターか.... どうしようか? オレの取り柄は大根しかない。

オレ=大根で大根=オレ

オレから大根をとったらただの村人だ。

『いや、今もただの村人だろ』ていうツッコミはなしの方向で....

じゃぁどうするこれからも、ずっと大根人間で生きていくか?

いやだ!! それはイヤだ。


「なぁピエトロ?」


「ん?」


「お前のとこで扱ってる装備見せてくれよ。」


「なるほど、装備を揃えて行く気か。まぁ、見ていけよ。」


ドラゴンソード、鉄の鎧、鉄の盾


「なんだかんだ、揃っているじゃないですか。」

ちょっと、高いけどオレの大根資金で払えないこともない。

『全自動畑作業マシン」はオレの憧れで、ユートピア。かける価値はある!


「ピエトロ。この装備一式全部売ってくれ!」

よし、これでオレの第2の人生が始まるぜ!!!


「あぁ.... その....」


「なんだよ! 早く売ってくれよ!!!」


「これ、村人は装備できないんだ。」


「・・・・・・・・・・」


「あぁ.... そうなのね....」


「落ち込むな! オレがとっておきのものを見せてやる。これでモンスターなんか簡単にたおせるぞ!」


「本当か! 見せてくれ!」


「見て驚け!!! これを使うとどんなモンスターも逃げていく最強の武器だ!」



「『うんこ袋』だ!!!』



「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「何言ってんのお前....?」


「うんこ袋だ」


「いや.... それさっき聞いた。武器じゃないよね....? それ」


「いや、武器だ。この袋を開けるとうんこの匂いが拡散して、みんなショック死してしまう。」


「うん。だからそれ使ったらオレも匂いの犠牲になるよね....?」


「あ!」


「『あ!』じゃねぇよ。ボンクラ商人が!」


「いいじゃねぇか、物は使いようだ。いざという時に役に立つかもしれん。」


....確かに。こっちも匂いの犠牲にはなるが、役に立つかもしれない。


「なぁ、ちなみにどんなモンスターの糞の匂いがするんだ? それ」


「モンスターじゃねぇぞ。」


「ん?」


「オレの嫁さんのウンコから抽出した匂いだ。スカトロプレイが趣味なんでな。」


「あぁ.... そうなんだ」


こうしてオレの『ジャパーン』への旅が始まるのだった。
















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