友達以上、友達未満、恋人以上、恋人未満。

 人に伝えるような文を書くのが初めてなので、伝えたいことが伝えられないもどかしさを感じながらレビューを書かせていただきます。


 どんな環境でも上手く生きていくために自分の外面を変えて生きている少女と、自分を変えずに決めた環境の中だけで生きている少女。
 普通なら絶対に関わることもないであろう正反対に見える二人が偶然と気まぐれによって不思議な関係になるお話。

 抱いている劣等感を紛らわせるために、自分より優れている仙台さんに背徳的な命令をして優越感にひたったり、仙台さんが命令以外のことをした時に不機嫌になってそっぽを向いて相手を寄せ付けなくなる。そんな宮城は、わがままで、卑屈な野良猫みたいな子。
 そして、人のことを優劣で判断するようなことをしない性格だから、宮城のそういった行動の動機を分からなくて、それを知るためにわざと命令に反してみたり、グイグイと距離を縮めていこうとする仙台さんは、人当たりが良くて、優しいけれど、好奇心が旺盛で悪戯好きな犬みたいな子。

 二人が共に過ごして行くうちに、相手に対する認識や抱く感情が徐々に変化して行く、そんな様子がそれぞれの一人称視点で語られることによって、読んでいくうちにどんどんと二人の解像度が上がっていき、二人にどんどん魅了されていきます。
 二人の間の雰囲気や心情は直接的に表現されるだけでなく、その時の季節、天候、時間、場所を用いた秀逸な表現によって効果的に描かれているため、まるで自分が本当に宮城や仙台さんになってその世界にいるような没入感がある、とても素晴らしい作品です。

 上記のように宮城や仙台さんになって楽しめるのが(個人的な)この作品、ひいては一人称視点作品の魅力です。しかし、一度最新話まで読み、二人の解像度を上げてからまた最初から読み直すと、二人の心情や葛藤、関係の変化を全て知っている『神』として二人の世界を覗き見ることができる変則的な第三者視点の作品として読むこともできる面白さも持っています。

 つまり、何が言いたいかと言うと、この作品は一口目は噛めば噛むほど美味しいスルメみたいな味で、飲み込んでから二口目を食べるとめっっっっっっっっちゃうまい焼肉みたいな味になる、一粒で二度美味しい、最後までチョコたっぷりなグリコでトッポな作品ということです。


そして、そういったようにこの作品を読みこむうちに、宮城かわいい!!!仙台さんかわいい!!!!!!!じれじれ尊い!!!!!!!!!宮城になって自分の知らない仙台さんをみてイライラしたい!!!!!!!仙台さんになって宮城のわからない部分を不安に思いたい!!!!!!!!!
百合尊い!!!!!!!仙台さんになって宮城に噛まれたい!!!!!!!宮城になって仙台さんに舐められたい!!!!!!!!!
って読者はみんな思うと思います。

こんな駄文を生成してしまう自己主張の激しい自分に嫌気がさしながら最後に一言だけ添えてこのレビューの締めくくりとさせていただきます。

全人類!!!!!!!この作品を!!!!!読めぃ!!!!!!!!