第15話 畑開拓 6日目(昼)
魔法猫のティータが新しいスキルについて説明してくれる。
「まずはレベル9おめでとうなのにゃ、次に【作物創造】なのだがにゃ人生で食べた事のある作物の種を創造する事が出来るにゃ、もしかしたらアギトがいた日本の作物がこの世界で再現できるのにゃ」
こほんと魔法猫のティータが咳払いして二足歩行で立ち上がり、腕組みしてみせた。
「次は【動物創造】なのだがにゃ、見た事のある動物を創造出来るにゃ、2つのスタミナケージをかなり消費するから疲れるにゃ」
「なるほど、それは滅茶苦茶良い事を知ったよ」
俺様は腕組みしながら考えながら、何を創造するか空想していた。
そして何を作りたいか考えがまとまると。
作物の種のトマト、ナス、枝豆、トウモロコシ、ジャガイモ、カブ、大根、スイカ、メロンを創造する事に、基本自分が食べたい作物を優先した。
後作物の植える季節が違うが、もしかしたらこの島の大地では関係ない可能性があるので、物は試しとばかりに実行する事にした。
もちろんスタミナケージが尋常じゃないくらい減ったので【体操】スキルを使用した。
5分間の体操でスタミナ回復して。
また種の創造を繰り返す。
地道な作業を何度も何度も繰り返していくと。
スタミナケージが200ケージに上昇した。
「おめでとうにゃ、スタミナを何度も使う事によってだにゃ、スタミナケージの上限があがったのにゃ」
「これは凄いな、体がとても軽い」
「そうだろうにゃ、スタミナケージとは人間で言う所の力の本質なのにゃ」
あらかた種を創造しつくすと。
【レベルアップおめでとうございます】
【レベル9→10になりました】
今回覚えたスキル。
【耕す】【水撒き】
またまた魔法猫のティータさんが解説してくれる。
「【耕す】は手をかざすだけで、見える範囲の土を耕す事が出来るにゃ、とてもシンプルなスキルだけど、とても便利なのにゃ」
「次に【水撒き】は【魔法概念】の【水魔法】と似ているけど全く違うにゃ、水魔法は水を繰り出すけど水撒きは部分的に空から雨を降らせる事が出来るにゃ、これは魔法ではないのでスタミナケージを使用するにゃ」
「ありがとうティータ」
「どういたしましてだにゃ」
俺様は畑を耕す場所に目星をつけてあった。
もちろん刑務所城壁の建設予定地の外側に設置する予定だ。
問題があるとすれば種を植える作業がとてつもなく面倒くさいという事なのだが、それは仕方のない事だと腹をくくる事にした。
「スキル【耕す】を発動っと」
次の瞬間スタミナケージが1になった。
全身の筋肉と言う筋肉から悲鳴があがりその場に倒れた。
意識を失っていたようだ。
はっとなって目が覚めると、空を見ていた。
そこには熊獣人のタグマさんが杖をついてこちらを覗き見ていた。
「はてはて、ご無理はなさらぬように、遠くから見ていましたが、一瞬で一般家庭の畑くらいは耕されましたよ。まだまだ耕すのでしょうが、死にますよ? ふぉふぉふぉ」
タグマさんは川の水を汲んできてくれたのか、こちらに渡してくれた。
小さな木のコップだった。
「美味しいです。この水」
「そうでしょうな、この地の水はとてもおいしいですからのう」
「さて、耕すとします。スタミナケージが全回復したようですし」
それから俺様は何度も耕し、スタミナケージが1になってぶっ倒れた。
夜になっても何度も耕し続けて、スタミナケージが1になった。
魂の抜け殻のように立ち上がり、まるで高校の部活を終えた後のような達成感があった。
気付けば。スタミナケージが500ケージになっていた。
耕すを発動してもスタミナケージが100残った。
つまり一度発動すると400ケージは使用している事だ。
魔法猫のティータがやってくると、くふっと笑った。
「範囲を指定してから発動するにゃ、そうでないと疲れ果てるにゃ」
「って、今頃かよおおおおおおお」
俺様は範囲を指定してみた。
もちろん小さな範囲を指定できた。
つまり限界まで畑を耕し続けていたという事だ。
「まぁ、スタミナケージが500になったのだからおめでとうなのにゃ」
「凄く複雑な気持ちになるよ、まったく」
ふぅと、一息つくと。
先程タグマさんが置いて行ってくれた木のコップを見つめて、そこにまだ水がある事に気付いて、飲み干した。
その時地面から何かが出てきた。
「土竜? それにしてもでかくないか?」
土竜、土の中にいるネズミみたいな生き物だったはずだが。
眼の前にいるのは土の中から中途半端に顔を出している巨大な土竜。
それも25体の巨大な土竜が出現する。
1番大きい土竜は俺様の眼の前で悠然とこちらを見ている。
目が黒々しくて、全身が茶色くて。爪は鋭くて。
まるでこちらを仕留めようとしているように。
だがそいつは話し出す。
「み、水をくれ、この大地に雨が降らんくて死にそうだ。俺っちは土竜族のドグラ。どうか水を」
脳裏に水魔法を展開させる事も考えたが、25体の土竜族とドグラに水を提供するとしたら。
範囲的な魔法、いや水撒きがいいだろう。
現在時刻は深夜を回ろうとしている。
「ふぅ、水撒き発動っと」
空には雲がないのに関わらず雨が降る。
まるで天気雨のように。
ひたすら降り続ける。
「ひゃっほおおおおお」
ドグラ達は歓声をあげて踊り始める。
それは土竜ダンスだった。
ひたすら踊り続ける事で水を補給している。
【テイムおめでとうございます】×26
連打のようにテイムおめでとうございますコールが響いた。
彼等はこちらを一心不乱に見つめている。
「へい、俺っち達を配下にしたんだから、指示をくれ」
「なら」
思考を巡らせる。
土竜なら土をいじるのが得意そうだ。
そして何より、回りには雑草があるではないか。
雑草と土を混ぜる事により肥料にならないだろうか。
だが雑草の根が繁殖されても困る。
なら定期的に土竜達に雑草を取ってもらおう。
そして枯れた雑草は肥料にしてもらおう。
「そうだ。雑草と土を混ぜて定期的に雑草を駆除してもらいたい、それとウィングタイガー達のフンをあそこに集めて積み上げて欲しい、もし嫌ならいいんだけど」
「それなら任せろ、土竜はな土とフンは同じようなもんだと思ってる」
いやだいぶ違うよと心の中で突っ込む。
「いいか土とフン、結果的に同じだ。茶色いし、臭い」
一応臭いを感じれるのねと思う。
「あばよ」
そう言って彼等は仕事にとりかかった。
俺様は深夜の星空を眺めながら草原で眠りについた。
異世界転移したので平和な国を建国したら最強武装国家になりました~最高な王国創造記~ MIZAWA @MIZAWA
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