第6話

街の中は歓声で満ち溢れていた。


「うおおおおおおお!!勇者!!!魔王倒してくれてありがとーーーー!!!」


「今までの勇者とは違うなーーー!」


「キャーーーーーかっこいい!!!!」


老若男女関係なく喜んでいることにアキトは今までの苦労が少し報われた気がした。


「こうして平和になったことを喜んでくれる人がいて本当に良かった。」


「平和になって困る人はあまりいないと思いますがね。」


「何もしないのもみんなに悪いだろうから、少しだけ顔を出して手でも振ってくるか。」


アキトは窓を開けて顔と手を出し歓声に答えた。


顔を出したと同時に周りの熱がまた上がり、女性に至っては求婚している者もいた。


それもそうだろう、アキトは自分の顔に自信を持っていないが、日本の時もこの世界でもかなりのイケメンの部類に入る男であった。


「もうそろそろで王宮に着きます!!!勇者殿は馬車の中に戻っておいて下さい!!」


「分かりました!報告ありがとうございます。」


アキトは素直に馬車の中へと戻った。


「べリス、これから王宮につくらしいがこの後の予定はどうなってるんだ?」


「この後は王宮につき次第、お連れするようにと命令が来ております。なので、ついて早々で悪いのですがよろしいでしょうか?」


アキトは正直疲れ果てていて本当なら今すぐにでも体を休めたかったが呼ばれているのではしょうがないと行くことに決めた。


「そうですか、さすがに着替えくらいはさせてもらえるんだよね?」


自分の穴だらけになってしまった服を見ながら聞いた。


「そのくらいの時間はあるので大丈夫だと思います。」


「よかった、このままの格好だと入れてもらえないかもと心配になってね。」


そんなことはないだろうと思った。魔王を倒し平和へと導いた張本人なのだから。


ガタンと馬車が止まり、御者にドアを開けられる。


「皆様王宮へ到着しました。」


馬車から降りるとそこには一糸乱れぬ形で整列した騎士団の人達がいた。


「べリス団長!この後騎士団の者たちはそうすればよろしいでしょうか?」


「この後はそれぞれ休息をとり引き続きいつもの業務へ戻ってくれ、休憩時間は4時間ほどでよいだろう。」


「了解しました!勇者殿今回の魔王討伐お疲れさまでした。では失礼いたします。」


綺麗な一礼をした後、一礼他の者たちを連れて室内へと入っていった。


「さてアキト殿私たちも向かいましょう、着替えなどはメイド長に伝えておきますので一度自分の部屋にお戻りになっていてください。」


「私は一度王様へと報告をしに行きますので、準備が出来次第また伺います。


「わかった、部屋でゆっくりしているから、遅めに来てもらっても全然かまわないよ。」


アキトは微笑みながら伝えた。






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壊れた男は異世界で嗤う はるる @haruru13

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