第5話
アキトたちを乗せた馬車は騎士団の人達に先導されながら王都内へと入ろうと門の目の前に来ていた。
「勇者殿のいる馬車とはわかっていますが、ここを通るには国の入場許可証が必要ですので提示してもらってもよろしいでしょうか。」
「わかりました。馬車にいるもの全員分です。確認よろしくお願いします。」
べリスはあらかじめ用意しておいた許可証を素早く門兵に渡した。
「しかし、王都だけいつも警備体制が厳重だね、こんなに人を割く余裕があるのなら他の町を少しでも警備してほしいものだよ。」
門の周りを警備しているであろう30人の門兵を見ながら言った。
「まあそんなこと言っても仕方のないことでしょう。貴族たちの比率の多い街ですからね。私も思うことがないとは言いませんが...」
「今の私からすると門兵のことなんかより王宮のほうが気になりますけどね。」
アキトはべリスの含みのある言い方に疑問を覚えた。
「なぜ王宮なんだい?」
「それは言えません。守秘義務に当たります。
「そうか、もし何かあるのなら一言私に伝えてくれよ。」
「わかりました。アキト殿。」
「確認終わりました。待たせてしまい申し訳ありません。」
馬車の中で会話をしているうちに確認が終了したようだ。
「大丈夫です。お仕事お疲れ様です。」
一言声をかけてからアキトたちを乗せた馬車は町の中へと入っていった。
門兵side
「あれが今回の勇者様ですか、噂によると優しい人ということですが所詮は噂です。今までのようにならないといいですがね。」
「もしそうなってしまった時には私たちだけでなく冒険者全員集めてでも殺さないといけないな、いくら死人が出ようとも....」
門兵のリーダーであるオックスが過去にあった出来事を思い出したかのように言う。
「私の母は物心がつく前に亡くなってしまっていたらしい、子供の時には病気で亡くなったと聞いていたが実際は勇者に殺されていたらしい。全裸で家の前に捨てられてな。」
「なぜ勇者などこの世界に呼ぶのだ、半端なものが力を持つから悲劇が生まれるのだ!!」
ダンッ!!!!と机に拳を叩きつけた。
「落ち着いてくださいオックスさん、幸い今回の勇者は人間としての理性を保っているようですから今は問題ありません。」
「そうだな、今はな。さてこれ以上待たせたら苦情が来てしまう早く手続きをしてしまおう。」
「わかりました!!」
「(本当に杞憂であってほしいんだがな)」
オックスは心の中で勇者がまともであることを願っていた。
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