第4話

「さてべリス騎士団長、単刀直入に聞くわ、あなたは勇者のことをどう思っているのかしら。」


「アキト殿は優しいお方だ!今までのような勇者ではないことは誰が見てもわかるはずだ!!!」


エルザ王女は考え込んだ。


「(この様子だと私たちの障害となるのは間違いないわね、騎士団長でなければ話は早かったのに。」


「あなたほどの人物を消したとなると王国にとって大きな損失になるし、このまま野放しにしておくと計画が狂ってしまうわ、どうしたらよいのでしょうね?」


独り言をエルザは漏らしてしまっていた。

それを聞いた貴族の男はいいことを思いついたとばかりに言った。


「では、契約の書で今回の勇者殺害計画についての詳細を話せないように縛りを設けたらどうでしょうか?」


エルザ王女は目を見開いた。


「それは名案だわ!殺さないで済むし情報が洩れる心配もしないで済むわ。この案で進めていきましょう。」


「さて私たちで契約内容について話し合いましょうか。べリスおとなしくしているのよ?」


エルザ王女は見下した顔でべリスに一言告げてから貴族と契約内容について話し始めてしまった。


べリスは冷や汗を垂らしていた。


「(なんとかしなければ、本当に手遅れになってしまう。)」


何とか脱出を図っていたがそれを黒ずくめの男が許すはずもなく徒労に終わってしまう。


「さあできたわ、べリスをこちらに連れてきなさい。」


「はぁい~」


契約の書を手に持ち魔法を詠唱し始めた。


「べリス あなたをエルザ・ディ・オスタールの名において命じます。契約書の項目について話すこと、エルザ・ディ・オスタールに危害を加えることを禁じます。」


べリスの体が赤く光るとそれは吸い込まれていった。


「さあ、契約完了よべリス、さあいつも通りの仕事に戻りなさい。いいこと、決して私に逆らわないことね。」


おっほほほほほほ!!!という高笑いを背に部屋を後にした。



そして魔王討伐後の馬車の中へと時は移る


「(計画について話すことは禁じられている、どうにかして異常だということを知らせないと。)」


「べリス、俺は魔王の討伐が終わったから予定通り日本への帰還術式で帰ろうと思う。」


「(これだ!!いつも言わないようなことを、声を荒げて言うことで何とか伝わるのではないか?不審に思われるだけでも良い何かに気が付いてください!!!!)」


べリスのアキトを救うための努力が始まるが、それが伝わったのかわ本人に聞かないとわからないことである。



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