第3話

べリスside


「(くそっ!アキト殿が殺されてしまう前に私は何とかしなければならないというのに)」


「(私があの時に見つかってなどいなければ!)」


アキトにこれから起こることを伝えることのできないべリスはひどい後悔の念にさいなまれていた。


1か月前...


王宮のとある部屋で秘密の話し合いが行われていた。


そこへべリスは偶々通りかかった。


「(忘れ物をしてしまうとは騎士団長であるのに情けない、気が緩んでいる証拠だな鍛錬をして引き締めなおさないといけないな。)」


「.......様....勇者.......」


ドアの隙間から小さく漏れ出る言葉に勇者という単語が聞こえたために聞き耳を立ててしまった。


「エルザ様、勇者殿のことですが王様には策があるというように伝えておりましたがどうするのでしょうか?」


貴族の一人が王女に問いかける。


「考えてはありますわ、下手に大掛かりなことをする必要はありません。勇者に状態異常耐性が低いことは昔からわかっていることでしたのでそれを利用します。」


「下手に私の計画を話してしまって勇者にもれたら非常にまずいのであなたたちがこれ以上知る必要はありません。」


「わかりました。私たちは勇者の排除ができるのであればそれでよいので問題はありません。王女様、もし手伝えることがあるのでしたらぜひお申し付けください。」


「ええ、その時はぜひ頼らせていただきますわ。」


べリスは急いでこの場を離れようとした。


「(なんてことだ!勇者の殺害をもくろんでいるだなんて、歴代の勇者であるのなら納得できますが悪評のないアキト殿がなぜ?! こんなふざけた計画は私が阻止させていただきます!!!)」


心の中で怒りをあらわにしていたせいでか察知能力が低くなってしまい、背後に近寄ってきていた者に気が付くことが出来なかった。


「な!!!!!!」


首に押し付けられたナイフの感触で自分が最悪の状況に陥ってしまったことに気が付いた。


「おっと~動くんじゃねぇぞ~手が滑って頭と胴体がおさらばしちゃうぜぇ~」


「お前何者だ!暗部のものか?!」


「さぁねぇ自分で考えるんだな。」


黒ずくめの男は何も答えてはくれなかった。


「(私がこうも簡単につかまってしまうとは油断していたとはいえ、手練れであることは間違いない。どうやってここから逃げる?首にナイフを当てられた状態じゃ何もできない。)」


すると部屋の中から話声の人物が出てきた。


「あらぁ、こそこそ聞いていたのは騎士団長だったのね。私たちの計画の一部を知られたからにはそのまま帰すわけにはいかないわ。」


「とりあえず部屋の中に入れて頂戴。」












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