第2話
王宮side
王宮の一室では国の重要人物たちが集まり会議を開いていた。
「勇者が魔王を打ち取ったか.....そのまま魔王もろとも死んでしまえばよかったものを。」
長い髭を指でいじりながらこの国の王である、
ロベルト・ディ・オスタールが不機嫌な顔で言った。
「そうですねぇ、この国の歴史では勇者が魔王を倒した後、国を乗っ取ろうとしたり国の美人な女性を慰み者にしたり一般市民を殺すなどと最低な者たちが多かったですからね。」
「だからと言ってアキト殿がそうとは限らないだろう。」
「勇者の今までの行動を見ていれば違うことがわかるだろう。」
一部の者たちがアキトのことを擁護し始めたことでロベルト王が声を荒げた。
「いいや、魔王がいなくなり力の一番強いものが勇者しかいなくなった今、歴代の勇者のように暴虐の限りを尽くすにきまっているだろう!!!」
「そうなってからでは遅いのだ!何か手のある者はおらんのか!!!!」
「じゃあ私が何とかしてあげましょうか?」
名乗りを上げたのはこの国の王女であるエルザである。
「なんじゃエルザ、お前さんに勇者を何とかすることが出来るのか?」
「ええ、もちろん確定とまではいかないですがあの方は優しいのでやれると思いますわ。」
国王は少し安心したかのように自分の席の背もたれに寄り掛かった。
「エルザよ時間はあまりないのだ早めに行動するのだぞ。」
「わかっております。国王様。」
「勇者に関してはエルザに一任するあとのことは任せたぞ。では、これにて会議を終わりにしよう解散だ。」
アキトside
王都の門が目の前に差し掛かってきたことで勇者を歓迎する民衆の声が大きく聞こえるのが分かった。
「こんなに歓迎されてもなあ、まあ悪い気はしないなむしろ嬉しいな。」
「魔王を倒したので当然です。最近は魔物の活動が活発化してたので被害が大きかったからより感謝する民衆が多いのでしょう。」
「そういえばべリス,いつまでも馬車の中に乗ってて大丈夫なのか?団長なんだから色々やることあるだろう?」
べリスは胸を張って答えた。
「うちの隊員たちは優秀ですから私がいなくともある程度は回るので問題ありません。ところで先ほどのこと考えていただけましたか?」
「さっき?ああ日本へ帰ることか?それは無理だ何度も言うが俺の最終目的は帰ることだからだ。変えることはできない。」
「...........」
馬車の中に沈黙が訪れ、気まずい雰囲気のまま王都の中へと馬車は足を進めていくのであった。
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