第57話 本当に気を付けたほうがいい言葉

 先日、『直観』明治23年には存在しない言葉(https://kakuyomu.jp/works/16816452219067387923)に多くの反響をいただき、ありがとうございました。


「小説は言語学の本ではありません」と書いた通り、小説は話の面白さのほうが重要ですので、そんなに言葉の有無を気にする必要はないと思います。

 

 ただ、個人的には気を付けたほうがいいのではと思う言葉があるので、書いてみます。

 これは時代小説ではなく、SFやファンタジーでも共通することではないかと思っています。


 本当に気を付けたほうがいいと個人的に思っている言葉は【妊娠・病気に関わる言葉】です。



 ※これ以降の話は例として良くない言葉を上げているため、ご気分を悪くされる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 



 例えば「試験管ベビー」は放送禁止用語です。

 

 昔のSFなどでは使われましたが、今は言ってはいけない言葉です。

 不妊治療で体外受精をする方は増えており、大変センシティブな言葉です。

 昔のアニメの再放送でも、そういった言葉やシーンは放送時にカットされたりしています。


 また、自分は政治系の本を読むことが多いのですが「内閣が流産した」という表現をよく見ます。

 これは個人的にはあまり使わないほうがいいと思います。

 『流産』という言葉は不育の方にとっては辛い言葉であり、かつ、どうしても使わなければいけないものではないので、他の言葉を使ったほうがいいと考えています。


 妊娠関係だとからかう描写もあまり良くありません。


 前に男子高校生もののお話を読んだ時に、マラソンで息が切れた男の子に「なんだよー、ラマーズ法みたいな声上げてー」「ひっひっふーーーってか。あーはっはは!」というのがあったのですが、ハッキリ言って一つも面白くないです。


 それを書かれた方は妊婦をバカにするというのが面白いというメンタルなのかもしれませんが、今どき、共感を得られないどころか炎上します。


 からかう話というのは病気関係も多いです。


「彼って甘い香りがするよね」

「糖尿病なんじゃないの?」


「最近、足が痛いんだよね」

「痛風だろ。お前、うまいものばっかり食ってるからだよ」


 これらは実際に見たことのあるものですが、個人的には勧めません。

 

 お話の内容として病気を扱うことはあると思います。

 ですが、何もお話の内容に必要性のない、からかいとして病気を持ち出して、良い点は何もないと思うのです。


 昔のゲームとかだと、実際の病気の名前を出したのですが、今は架空の病名にしろとか、詳しい症状は書くなと言われています。

 

 もちろん放送禁止用語だからと言って、何でもダメだとは自分は思いません。

 

 放送禁止用語でも、ファンタジーなのだから「ハーフ」とか「農夫」と書きたいという時もあるかもしれませんし、時代小説だから「二号さん」「下男」と書きたいときもあると思います。


 ただ、意識的に使うのではなく「それまでの本で得た言葉や流れ」を「相手を傷つける目的ではなく」書いているときのほうが実は危険だったりするので、それでこの話を書いてみました。

 

 自分も気をつけます。

 気づかずにやりそうなので……。

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