後門の悪友
「で、結局めった刺しにされて女が逃げてからやっと外に出たのか?ばかじゃねーの?」
「だってさー、刺されてすぐ傷が直ったらさすがに怪しまれるでしょ。催眠も魅了も後遺症がないわけじゃないしさー。ただでさえ吸血のあと記憶をいじってるのに…」
「人間を愛玩用に飼おうとするのがよくねーんだよ。さっさと絞めて血を吸っちまえばいいのさ」
「
血まみれになって腹の部分が破れた俺の服を広げた友人は悪そうな顔をしてケケケと笑った。
俺は赤い液体で満たされたグラスを傾けて溜息をつく。
「
「あの子たち、可愛いんだよ。同族の女はみんななんていうか強くて…こっちに依存してくれたりしないじゃん」
グラスの中に満たされた赤い液体を飲み干して、俺は窓の外に広がるたくさんの人々が行き交う光景に目を向ける。
一時期絶滅危惧種だった人間たちは、俺たち吸血鬼が節制をすることでかつての個体数を取り戻しつつあった。
「お前と遊ぶと退屈しねえよ」
悪友のその言葉に苦笑いを浮かべながら、俺は二杯目の赤い液体をマスターに注文した。
メンヘラを倒さないと外に出られない部屋 小紫-こむらさきー @violetsnake206
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