第一一〇九回 革命の域に達する大激戦。


 ――さあ、それはどうかな?


 実は、その一言こそが合図なの。僕とカンちゃんが考えたフォーメーション。



 共に小柄な身体を活かした。風を感じ、風と一体化する。僕は猪突猛進に、陽ちゃんに向かって行く。迫る銃弾の雨にも臆せず、我が銃を盾にして狙うは接近戦へと。


 忍ばせる青いナイフ。それも強力なジャックナイフだ。


「そんな単調な攻撃、あっと言う間に返り討ちよ」


 とのようちゃんの罵声。なら、フォーメーションはバッチリということだ……


「レッツゴー!」の掛け声と共に、陽ちゃんの視界に、急に現れたカンちゃんの姿。嘸かし驚いたことだろう。それが証拠に「なっ?」と一瞬でも驚愕な表情と、その声までも出させたのだから。陽ちゃんを動揺させるには充分な内容。その隙を狙ったのだ。


 カンちゃんは、ずっと僕の背後にいた。陽ちゃんとの距離を詰めてから、宙へと舞ったのだ。脅威な跳躍力を活かしつつ。……でも、僕が銃を捨て、ナイフを構えた時、その瞬間だった。僕は蹴られた。陽ちゃんの右脚は、僕の腹部を思いっ切り蹴り上げた。


千佳ちかちゃん?」と宙を舞っていたカンちゃんは、僕の方を振り向いたばかりに、陽ちゃんの拳で殴られた。ほんの一瞬のこと、二人がかりで接近したものの、大反撃を喰らってしまった。するとゲージが表示され……半減していったのだ、HPが。この一撃だけで大ダメージ。陽ちゃんは、格闘術でも長けているということなの? ……でも、でもね、


「ン? 何笑ってるの?」と、陽ちゃんは僕に言った。


「ウフフ、陽ちゃんは忘れてたよ、たった一つ。僕が女だということ。ただで蹴られたと思うの? 僕は、もっと狡猾なんだよ。例えば、バーゲンセールへ向かう主婦のように」


 すると陽ちゃんは見る。自分の身体に仕掛けられたものを。それは……


「何? いつの間に絡めたの、こんな大量の爆弾を?」と、やっと気付いたみたい。小型爆弾を細いワイヤーに絡めていたことに。全部で十個程かな。そしてリモートは、カンちゃんの手に握られている。「これでエンドだ」と躊躇わずに、着火スイッチを押した。



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