第一一〇八回 まさしくチカノサバゲ―。


 ――それは二つの意味。地下で行われていることもあり、僕が今、体感しているから。


 僕の名前が千佳ちかだから。地下でもあり千佳でもある。なので、チカノサバゲ―なのだ。



 炸裂する銃弾の雨。横殴りの雨だ。しかも至近距離……


 ようちゃんは、容赦もなく連射してくる。躱す躱す僕の身体は。トリッキーな動きでの撹乱。美千留みちるは浴びる銃弾の雨。僕の身代わりへと同士討ちに誘った。なので……


「卑怯な」という言葉も浴びるけど、賛否両論で「流石は黄色い悪魔だ」と、肯定する内容も画面を走る。ユーチューブなどで見かける、そんなイメージの画面。一応はゲームなのでプレイヤーの生存は確保されている。いずれにしても相手は陽ちゃん一人となった。


 こちらは、カンちゃんと二人。まさに、あの日の再現だ。


 さらに煽るように、


「さあ、二人同時にかかってきなよ。あの日の決着だから」と、陽ちゃんは言い放った。


 まるで放たれた光の矢のように遡る幼き日。陽ちゃんが転校する前の日に、決着がつかなかったこと。それから三人はバラバラの道。そして今日、再会した。ここからまた、三人のお話が続くようにと。グッと込み上げてくる感覚。だからこそ高いボルテージへと。


「うん、決着だね。ウチはそのためにここに来た」


「終わったら、皆で苺パフェだね」「へっ? ちょっと千佳ちゃん?」


「ウフフ、あの頃と同じ。ゲームの後は三人でよく食べたでしょ。陽ちゃんのお家で。また遊びに行きたいなあ。折角会えたんだから、カンちゃんもあるんでしょ、陽ちゃんに」


 そうなのだ。それが、カンちゃんが僕にお願いしたこと。


「まずは決着をつけよう。そしてウチは陽ちゃんに勝つよ」


「楽しみね。じゃあ、止めはカンちゃんが決めてくれるのかしら? 差し詰め千佳ちゃんはサポート役なのね。ところで知ってる? 今回のウメチカ戦だけど、同じトーネメントを組んでるチームが乱入してくることもあるから、くれぐれも流れ弾に当たらないように注意してね。でないと、さっきの美千留みたいに途中退場になっちゃうから」



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