第一一〇六回 重なる面影は、遠い昔に。
――貴重なるワンシーンだけど、時は待つこともなく試合は静かに開催された。
そして其々のブースに入った時、異変を感じることとなった。僕だけではなく皆が皆。
今までと違うの。コントローラーがなくてゴーグルらしきものがある。するとカンちゃんが……えっ? 一緒にブースに入ってきて、その狭さ故に密着が半端なく……
「ジッとして、それからイメージして」と言いつつ、カンちゃんは僕にゴーグルを装着させた。すると広がる視界。二次元ではなく三次元の景色。とても長閑な世界……
「これは?」「今話題のVR。ウメチカ戦も取り入れたの、今年から」「どうやって動かすの?」「だからイメージ。
今の体勢はブースの中で僕が横たわって、僕の身体の上にカンちゃんの身体が覆っているようなそんな感じ。傍からも見える。カンちゃんが僕を押し倒しているように。
そう思った時だ、すぐさま「大胆」との声がチラッと聞こえた。
ササッと起き上がり「ごめん」と言って、ブースから出るカンちゃん。そそくさと、そしてパタパタと離れて自身のブースに入ってゆく。そんなに距離はなかった。
ポッと熱を帯びる僕のお顔。
そんな余韻も束の間で「さ、行くよ」と、彼のアバター参上した。
僕は僕にソックリな、いつもよりリアルタイプな、黄色のコスチュームの魔法少女。そしてカンちゃんのアバターは、彼にソックリな迷彩色のサバイバル風な趣の少女? 見てわかる装備は、手榴弾のようなものとサバイバルナイフを腰に、拳銃よりも遥かに大き目の……機関銃のような感じのもの。特徴的なものは髪飾り。スパナで髪を束ねていた。
一気にミリタリー感覚に染まった。
すると立ちはだかった。相手のチームらしき、カンちゃんと同じスタイルのミリタリーなコンビ。一人は間違いなく
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