第一〇九八回 ある意味では、ジューンブライド。
――温かな昼下がりに、ふと思った。風鈴の、爽やかな音色を聞きながら。
スヤスヤと、二人の子供は寝息を立てている。昨夜は夜泣きで大変だった分、僕もウトウトと、眠りに誘われる。そんな中だ、広がる白い世界に、純白のウェディングドレス。
光と影の世界。
白と黒……だけかと思われたけど、一筋の道が開かれた。それは赤いバージンロード。
差し出された手……僕はそっと、その手に触れる。僕の身を包んでいるものこそ、純白のウェディングドレス。そんな僕に手を差し出した人は、ティムさんだった。
あの日の想い。ティムさんが、僕のパパになった日。
この瞬間だけでも、その記憶は蘇った。いつの日か、夢見ていた光景……
手を繋いで、一緒にバージンロードを歩く日のこと。憧れていた光景……
瞳が潤んだ。仲人の挨拶よりも、この瞬間が深く深く心に残る。仲人のティムさんではなく、この日だけ僕のパパに戻ったティムさんだから。長くも短い赤いバージンロード。
その先には、白いタキシードの
短い間だったけど、僕のパパはティムさん。……でもね、僕にはパパが二人いる。
そしてティムさんが僕のパパになってほしいと願ったのも、僕だった……
「パパ、ありがと」と、その言葉が、娘としての最後の言葉。
「
明日になれば、ティムさんは別の家庭に戻る。
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